事故現場付近の様子=2020年12月、福井県

早いもので、もう師走となりました。
みなさん、コロナ禍での年末はどのようにして過ごされる予定ですか?
釣具店の店主さんなどに聞くと、今年はコロナの影響で密を避け新たに釣りを始められる方が多いとのことで、その言葉を裏付けるかのように、今年は昨年に比べて釣り中の事故が大幅に増加しています。

12月初旬、福井県の防波堤で、釣りの準備中であった60代男性が海に転落、それを助けようと60代の妻も海に飛び込むという事故が発生しました。

辺りはまだ暗い午前4時ころ、釣りが趣味の夫婦は、慣れた釣り場である県内の防波堤に到着しました。

旦那さんが、車から釣り道具を防波堤の先端に向かって運んでいたところ、地面に躓いてしまい暗い海の中に転落…。
後から歩いてきた奥さんが溺れている旦那さんを発見し、あわてて近くの駐車場まで走り、車内で夜明けを待っていた別の釣人に助けを求めたのでした。

防波堤に戻ってみると、旦那さんは10メートルほど沖まで流されており、助けを求められた釣人が海上保安庁へ118番通報。
さらに、クーラーボックスなどの浮力となるものを事故者に向かって投げ込みましたが、救助することができず、それを見ていた奥さんは、なんと旦那さんを助けるために突如自ら海へと飛び込んでしまいました。

12月に入り、すっかり冬の海。海水の温度は15度ほどと冷たく、夫婦の体力を奪います。

さらに、救命胴衣は持参していたものの、旦那さんは釣りの準備中であったため着用していない状態で転落、奥さんも着用しないまま飛び込んでしまっていました。
奥さんは必死の思いで、なんとか旦那さんを浅瀬の岩場へと引き込み、それと同時に、海上保安庁から事故発生の連絡を受けていた消防隊が到着し、旦那さんの海中転落から約2時間後、2人を陸上へ引き揚げて救助することができたのでした。

その後、2人は病院に搬送され、低体温などのため治療を受けることになりましたが、幸い2人とも命に別状はないということで、知らせを聞いた敦賀海上保安部にも安堵の空気が流れました。

しかしながら、秋から冬になっても絶えない釣り人の海中転落事故。
特に冬場は海水温の低下から、転落すれば命のリスクが格段に増します。
海辺での救命胴衣の常時着用はもちろんのこと、夜の海では特に細心の注意を払って行動することが重要です。

また、海での事故が発生した場合、海上保安庁などの救助機関に通報していただければ、消防や警察などと連携して救助にあたる体制を整えています。
無理をして自らで助けようとすれば、二次災害をひき起こすこともありますので、冷静に救助機関の到着を待つということも重要となります。

私うみまるも、まだ高齢というわけではありませんが、最近寒くなってきて腰やひざが痛い…若い頃のように体も動かなくなってきました。

「自分は長年釣りをしてきたから慣れているし落ちたりしないよ」とみなさん思っていることでしょうが、どんな事故でも、突然、何が影響して起こるのか、予測するのは難しいもので、そういった「油断」が命の危険につながることになります。

“楽しい”はずの釣りで、命を落とすような“悲しい”結果とならないように、海のレジャーは、良い意味で“ビビりながら”行ってください。(敦賀海上保安部・うみまる)