AIを活用したモニタリングのイメージ

 新型コロナウイルス感染者へのインターネット上の誹謗中傷や差別に対し、福井県がモニタリング(監視)を始めて1カ月がたった。人工知能(AI)を使ってチェックする全国初の仕組みで、県は中傷に当たる可能性がある12件の投稿画面の画像を保存した。企業や学校名を挙げて感染者の行動を責めるようなケースがあり、「被害に悩まれている方は相談を」と呼び掛けている。

 ネット掲示板やSNS上での中傷や差別の抑止、早期の投稿削除につなげることが目的。11月4日にモニタリングを始め、感染が広がった3月までさかのぼって調べている。画像は被害者からの相談に応じて提供するため保存している。

 ネット上のモニタリングに精通した企業「ピットクルー」(東京)に業務を委託。「コロナ」「福井」「陽性」などのキーワードで自動検索した後、AIが問題のありそうな記述を選別する。抽出された投稿を社員が確認し、県に219件(3日現在)の投稿内容やサイト名、URLを報告した。県はこのうち12件が誹謗中傷に当たる可能性があると判断し、画像を保存した。画像は公文書と同様、5年間保管する。

 県地域福祉課人権室は、中傷に当たるか明確な線引きは難しい面もあるとした上で、保存した投稿は名誉毀損(きそん)などに該当する可能性があると説明。被害者が内容を知りたくないことも想定されるため、相談がない限り画像は提供しない。深刻な内容が含まれる場合は、必要に応じて警察や法務局など関係機関に情報提供する。

 福井市のアオッサにある県人権センターで被害相談を受け付けている。該当する画像があれば、訴訟を起こす際などに証拠として活用してもらう。投稿削除や法的手続きに向けた支援として、県は専門業者や弁護士無料相談も紹介する。

 現在のところセンターに相談はないが、ネットの掲示板では、県がモニタリングしていることを伝えて中傷しないよう注意を促す投稿もあり、一定の抑止効果があるとみられる。

 県人権室の担当者は「誹謗中傷は以前より減っているが、悩まれている方は気軽に相談してほしい」と話している。相談窓口は県人権センター=電話0776(29)2111。