車内を消毒し、席数を減らすなど感染対策をとるバス会社=12月1日、福井県福井市八重巻町の福井中央観光

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で福井県内の観光バス業界が苦境に立たされる中、各事業者は感染者数が少ない地域へのツアーを企画したり、学校関係の需要を取り込んだりと、あの手この手で営業を続けている。感染第3波の影響を受ける懸念はあるものの、行政の支援も受け、“ウィズ・コロナ”の観光バス事業を模索している。

 ■10カ月ぶりに再開

 敦賀海陸運輸(本社敦賀市)の海陸観光は、2月以来見送っていた日帰りバスツアーを約10カ月ぶりに再開させ、今月13日に「Go To トラベル」対象の第1弾を企画した。従来は京都や大阪などへの日帰りツアーが中心だったが、第1弾は県内の大野市などを巡るコース。昼食付きで1人6千円と割安な設定だ。

 「これまで様子見してきたが、いつまでも受け身の状態ではいけないと企画した。ツアー先は新型コロナの感染者が少なく、人気スポットがある場所を考えた」と担当者。1月下旬に予定する県外ツアーも都市部は避け、静岡県浜松市のイチゴ狩りを選んだ。

 感染が拡大すれば予約キャンセルや催行中止も懸念される。担当者は「感染状況と背中合わせの難しい状態が続くが、行けそうなタイミングでツアーをやっていくしかない」と話した。

 ■県の補助制度奏功

 春先から6月ごろまではほとんどバスが稼働しなかったという福井中央観光(福井市)は、学校関係の利用などにきめ細かく対応している。県内を巡る修学旅行や遠足、スポーツ大会の会場移動のほか、少人数グループや家族の旅行などの需要も取り込んだ。吉田周司社長は「まだ大きな期待は持てないが、利用したい人は必ずいると確信している」と前を向いた。

 県バス協会によると、観光バス業界の売り上げは4月に前年同期比1割ほどにまで落ち込んだが、9月以降は6割前後まで回復している。国の「Go To トラベル」に加え、県と県観光連盟が県内観光地を2カ所以上回ることを条件に貸し切りバス料金を半額補助している制度が奏功しているという。

 各事業者ともバス内の抗ウイルス加工やツアー定員を減らすなど、感染防止策を徹底して客を迎えている。ただ、協会関係者は「団体旅行客が戻らず、本格回復は遠い」と指摘する。

 ■連携強める動きも

 業界内で連携を強める動きも出ている。京福バス(福井市)は、バスガイド育成会社「プロデュースG.C.」(同)が各地で行っているサービス「バスに乗らない旅気分」と共同企画を進めている。

 「旅気分」は観光地の名所や見どころの写真、動画をスクリーンに映し、バスガイドがマイクで案内するサービス。コロナ禍の中で公民館などを回り、好評を得ている。

 京福バスは「旅気分」を体験した高齢者らを対象に、実際に観光地に向かうツアーを計画中だ。担当者は「開催できるかは感染状況次第」としつつ、「バス旅行に関心を持ってくれる地域コミュニティーを大事にし、旅気分だけでなく実現にまでつなげたい」と話している。

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