通算20作目、Eストリート・バンドとの作品としては14年の『ハイ・ホープス』以来6年ぶりのニューアルバムです。

 71歳になったロック界の“ボス”がこの新作に託したテーマは“ロックンロールという音楽そのものと彼の人生におけるバンドの歴史”。高校時代のバンドの旧友が2年前に亡くなり自分がバンドの最後の生き残りとなったことが制作の動機になったという彼、有限である人生におけるロックンロールの意味を様々な角度から語ります。「大きな黒い汽車がやってくる、ここにいると思ったら、次の瞬間もういない」

 冒頭の「ワン・ミニット・ユア・ヒア」ではロックンロールは無常なものだが、生きるこの瞬間に無限のパワーを放つものと暗示します。今作がすべて生演奏で録音された理由もロックンロールが放つ“この瞬間のパワー”を捉えたかったからではないでしょうか。また手に取ると曲を書きたい衝動にかられたというファンからもらったギターのエピソードも、先だったバンドのメンバーからのプレゼントだったのでは?という気がしてなりません。

(ソニー・ミュージック・2400円+税)=北澤孝

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