ミニトマトの農業ハウスで、自身の農カードを手にする川合秀一さん

 「『農カード』が広まっています。北海道の農家も参加していますよ」。農カードに参加しているという秋田県の農家から北海道新聞(本社札幌市)の「みなぶん特報班」に投稿が寄せられた。農カードって何だろう? 調べてみると、会員制交流サイト(SNS)でつながる道内外の若手農家が、農業への思いを込め、ネット販売する農産物などに添えているカードだった。投稿者に教えてもらった後志管内余市町の農業川合秀一さん(34)を訪ねた。(北海道新聞 佐藤圭史)

 ▼商品と一緒に発送

 カードは名刺サイズで、農業ハウスの中で腕を組む川合さんの写真をプリント。生産するミニトマトのジュースを紹介し、裏面には販売サイトにつながるQRコードが印刷してあった。「発送する商品に入れて配っているんです」と川合さん。消費者に農業や生産者を身近に感じてもらう取り組みで、農カードを配る仲間は現在、全国に71人いるという。

 発案したのは川合さん、愛知県のミニトマト農家小川浩康さん(30)、岐阜県の柿農家西垣誠さん(38)の3人。ツイッターでやりとりする「ゆるいつながり」(川合さん)の農家仲間だ。発案のきっかけは、小川さんが見た8月中旬のテレビ番組だった。

 番組では青森県の職員が、地元の水産物PRのため漁業者の写真をカードにして配布する活動を紹介。小川さんが「農家カードもやってみたい」とツイートし、川合さんが「面白い」と反応した。

 ▼全国の若手が参加

 翌日、デザインの得意な西垣さんが試作版を投稿すると、全国の農家から「うちも仲間に入れてほしい」との声が届いた。カードを「農カード」と名付け、ツイッターでカード作りの参加者を募ると、30~40代の農家から申し込みが相次いだ。

 カードは3人が運営メンバーになって、参加者から送られてくる写真やプロフィルを素材に作成。山形県の農家はスイカを手にポーズを取り、長野県の農家は大根を抜く様子をプリントした。カードを手にした消費者には「農家の個性があふれる」と好評で、地域の子どもたちに配る農家もいるという。

 川合さんが通販の商品などに添えたカードは、これまでに約200枚。「購入者の中には、カードを集めるため仲間の農家の商品も買ってくれたり、知り合いにカードを配って購入を勧めてくれたりする人もいる」と効果を実感する。

 道内からは他に上川管内愛別町で米や野菜を栽培する水谷絵美さん(39)が参加しており、「全国の農家と一緒に農業を盛り上げたい」と話す。発案した3人は「農業は高齢化が進み、仕事も大変なイメージだが、カードを通じて活気のある農業をPRしたい」と言い、12月にも参加者を追加募集する予定だ。

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