福井地裁=福井県福井市

 福井県福井市内で2019年2月、てんかんの影響で発作を起こす恐れがある状態で乗用車を運転し、発作によって人身事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪に問われた男性被告(66)の判決公判が11月25日、福井地裁であった。西谷大吾裁判官は「事故当時、走行中に発作を起こす恐れがあると認識していたとは認められない」とし、危険運転の故意を欠くとして無罪(求刑懲役10月)を言い渡した。

 公判では、てんかんの影響で運転中に発作を起こして意識障害に陥る恐れがある認識が、男性にあったかどうかが争点となった。

 判決によると、男性は人身事故を起こす前の2018年11月、物損事故を起こしたが、その際の記憶がなかった。診断した医師は、てんかんの可能性が否定できないと伝え、抗てんかん剤を処方した。ただ、それ以降、てんかんの発作や前兆と思われる異常を感じることはなかったという。

 判決理由で西谷裁判官は「(物損事故の際に)確定診断には至らず、その後もてんかん発作の兆しは一切なかったことに照らせば、人身事故当時、運転中に意識障害に陥る恐れがあると認識していたというには合理的疑いが残る」とした。

 また、男性は抗てんかん剤の服用を怠っていたが、西谷裁判官は「(男性にとって)てんかん発作自体が現実味の乏しいもので、医師の強い指導もなかった」などと指摘。服用しないことで意識障害に陥る危険の認識を持たなかったとしても不自然ではないとした。

 男性は昨年2月、福井市内で乗用車を運転中に発作を起こして意識喪失状態に陥り、対向してきた車両とその後続車両に衝突し、後続車両の運転者に加療約2週間を要するけがを負わせた。自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで書類送検され、在宅起訴された。

 福井地検の西尾健太郎次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対処したい」としている。

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