「棒人間アート」を手掛け、初の個展を開いた山崎海斗さん(左)=11月21日、福井県鯖江市の「カフェ&ランチここる」

イグアナを表現した山崎海斗さんの作品。1ミリ以下の棒人間を細かく配置し、一枚の絵に仕上げている

 全身の筋肉が徐々に衰える難病「筋ジストロフィー」と闘いながら、棒線と丸で描いた人間を点描画のように配置し、動物や文字を表現する独自の「棒人間アート」を手掛ける福井特別支援学校高等部3年の山崎海斗さん(17)=福井県坂井市。初の個展「棒人間の世界」を12月中旬まで、同県の鯖江市嚮陽会館内「カフェ&ランチここる」で開いている。自らと似た苦境に立つ人たちを「笑顔にできたら」との願いを込める。

 山崎さんは3~4歳の頃、よく転ぶなどの違和感を覚えるようになり、病院で筋ジストロフィーと診断された。現在、上半身は動かせるが、自力で歩けず、電動車いすでの生活だ。

 棒人間アートは2019年、入院中に本格的に取り組み始めた。もともと小学生の頃から、顔を円、胴体や手足を棒線で表現した「棒人間」を点描のように細かく描き、集合体で一枚の絵に仕上げていた山崎さん。入院時に祖母から「また、あの絵が見てみたい」と言われて背中を押され、ボールペンで描き始めた。

 一つの棒人間は1ミリ以下の大きさで、ほぼ点に近い。細やかな作業を、机に覆いかぶさるような姿勢で進めていく。体調を考慮して1時間おきに休憩を挟みつつ描き、一つの作品を「2日程度で完成させる」そうだ。

 山崎さんの作品を会員制交流サイト(SNS)で見た鯖江市のチョークアート作家、吉崎幸子さん(45)に声を掛けられ、19年10月、吉崎さんが企画した障害者の作品展に出展した。来場者から「カラー作品が見たい」と感想をもらい、以降はカラーボールペンでも描くようになった。

 今回の個展は、19年の作品展で感銘を受けた鯖江市職員の呼び掛けで実現した。生まれて初めて描いたハチや新作のアヒルなど、主に好きな動物をモチーフにした約30点が並ぶ。展示作業は母親の理恵さん(45)が行い、手作りの看板も飾った。

 11月21日には同級生らが会場を訪れた。女子生徒2人は「細かくてすごい。元気をもらえた」と笑顔を見せた。山崎さんは「いつか地元三国でも個展を開きたい。鯖江のレッサーパンダも描けたら」と夢を抱く。

 午前10時~午後5時。火曜定休。フェイスブックなどで動画配信もしている。

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