1カ月前から左手の親指と手首が痛くなり、人さし指やひじにも痛みを感じ始めました。インターネットで調べると、「スマホ腱鞘炎(けんしょうえん)」といわれる症状のようです。スマートフォンを左手だけで操作するのをやめたところ、右手も同じ痛みが出てきました。どうしたら治るのでしょうか。予防法も教えてください。(福井県嶺北地方、30代男性)

【お答えします】大木央・福井大学医学部整形外科講師

 ■指や手首、使いすぎで炎症

 「スマホ腱鞘炎」とは、スマートフォンの過度な使用に関連した手部の障害をさす用語で、いろいろな病気を含んでいると考えられます。相談者さんには複数の病気が起こっているようです。

 左手の親指および手首の痛みは「狭窄性腱鞘炎」によるものと考えられます。手首の親指側にある腱鞘(腱が通るトンネル)とそこを通過する腱に炎症が起こった状態で、腱鞘部分で腱の動きが制限され、手首の親指側が痛み、腫れます。親指を広げたり、動かしたりするとこの部分に痛みが走ります。親指の使いすぎが続くと、腱鞘が分厚くなったり腱の表面が傷んだりして、さらに刺激となって悪循環が生じます。

 治療として局所の安静、消炎鎮痛剤の投薬、腱鞘内ステロイド注射などを行います。改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘を開く手術(腱鞘切開)を行います。

 人さし指や肘の痛みは「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」を併発していると考えられます。手首を反らせる・内外にひねる・指を伸ばすというような動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが生じます。主に手首を反らせる筋肉の付け根が肘の外側で炎症を起こすことで生じます。大きな力がかかったり繰り返し使ったりしたことがきっかけで発症することが多いです。

 治療として局所の安静、消炎鎮痛剤の投薬、ステロイドの局所注射、手首や指のストレッチ、専用のバンドの装着を行います。手術を行うこともありますが、ほとんどのケースでは必要ありません。

 ■休憩、アイシングで予防

 いずれの疾患でも局所の安静が最も重要です。特に痛みが生じるような動作を減らす工夫が必要です。治るまでに数カ月かかることも多いので、根気よく保護することが大事です。

 予防としても局所の安静が重要です。使い過ぎになるような環境では休憩(1~2時間程度)を挟み、違和感などが出てきたら消炎鎮痛剤を含んだ貼付剤などを早めに使用すると良いでしょう。使いすぎた時には痛くなってしまう前にアイシングするのも効果的です。

 特に「狭窄性腱鞘炎」は手術を要するケースも多く、整形外科受診をお勧めします。