福井県あわら市沖の洋上風力発電事業

 菅義偉首相が温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を掲げ、注目が集まる再生可能エネルギー。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に「再生エネは本当に頼りになるの?」と疑問が寄せられた。国が主力電源化の鍵と位置付けるのが陸上風力より風車の大きさ、出力ともにはるかに大きい洋上風力発電。福井県内でもあわら市沖で計画があり、風車の高さは最大で260メートルと、県内で最も高い建物である福井市のハピリン(91メートル)の3倍近い。出力は50年前に敦賀、美浜で稼働した初期の原発に匹敵する。早ければ今冬にも手続きが始まる。

 ◆変わる越前海岸

 あわら市沖は福井県沿岸の中で比較的強い風が吹くエリア。陸上で風力発電の実績があることもあり、現時点で二つの計画が浮上している。北陸電力や中部電力のグループと、電源開発と三井不動産のグループで、ともに想定区域はあわら市のほぼ全沿岸約6キロ。国の公募を経てどちらかが事業者に選ばれる流れだ。

 陸上風力に比べ立地に制約が少なく、巨大施設を設置できるのが洋上の強み。北陸電グループは横一列に最大20基をずらりと並べる構想。電源開発グループは列を分けることも視野に、最大37基。設置場所は1キロ以上沖合だが、巨大風車は沿岸から目に入り、越前海岸の景観が変わりそうだ。

 北陸電グループは風車を比較的浅瀬に設置しコスト面で有利なのに対し、電源開発グループはより沖合にも設置し出力が大きい。最大想定の35万キロワットは、日本原電敦賀原発1号機(35・7万キロワット)、関西電力美浜原発1号機(34万キロワット)=ともに廃炉作業中=並みだ。

 ◆県の動向注目

 洋上風力を進めるには事実上、国の「促進区域」の指定を受ける必要がある。指定されれば最長30年間、海を利用できる。指定に向けては、適地と見込まれることを都道府県が国へ情報提供することが第一歩。国は昨年度、12~2月に各地の情報を募集した。「本年度も大きなスケジュール変更は考えていない」(資源エネルギー庁新エネルギー課)としていて、募集が今冬始まれば、県の対応に注目が集まりそうだ。

 北陸電、電源開発とも早期の手続きを望んでおり、地元には最短で2028年度運転開始のスケジュールを示している。ただ県は「地元の理解が前提でスケジュールありきではない」(環境政策課)との立場。漁業者ら地元関係者の調整が不十分なまま情報提供しても「有望な区域」と認められず、以降の手続きに進めないためだ。あわら市も「計画には賛否あり、県と調整する」(生活環境課)としている。

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