国の重要文化的景観に選定される越前海岸の水仙畑=2019年1月、福井県越前町梨子ケ平

 国の文化審議会は11月20日、福井県の越前海岸の水仙畑や集落の景観を重要文化的景観に選定するよう萩生田光一文部科学相に答申した。福井市の「下岬」、越前町の「上岬」、南越前町の「糠」の3件で、県内での選定は初めて。花の栽培地では全国初となる。越前海岸の住民の暮らしを理解するために欠かせない景観と評価された。

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 景観地は、福井市下岬354・7ヘクタール(居倉町、浜北山町、赤坂町、城有町、八ツ俣町の各一部)、越前町上岬603・4ヘクタール(梨子ケ平、左右、血ケ平)、南越前町糠522・4ヘクタール。

 急な崖が連なる各地では、水仙畑が斜面や棚田に広がる。平地が少なく冬は海が荒れる厳しい住環境の中、自生していた水仙を、各集落の住民が栽培地を広げて冬の特産物に発展させてきた営みが現れている。

 選定に所有者らの同意が得られた水仙畑約47・6ヘクタール(福井市下岬22・0ヘクタール、越前町上岬25・2ヘクタール、南越前町糠0・4ヘクタール)をはじめ集落、寺社、水路など計50件が「重要な構成要素」として保護の対象となった。

 各地の水仙農家は高齢化が進み、シカやイノシシによる被害に悩まされている。3市町と県は選定を機に獣害対策を強化し、水仙畑の景観の魅力を発信して交流人口を増やし担い手確保につなげたい考え。

 杉本達治知事は「越前海岸の水仙畑とそれを支える集落の景観は、土地の風土と人々の営みの積み重ねが現れた福井県を代表する素晴らしい景観。水仙栽培に携わる地域の皆さまに深く敬意を表すとともに、景観の魅力を広く発信し、価値を高める取り組みを支えていく」とのコメントを出した。

 福井県は県内初選定を目指し、2017年度から景観の保存調査に着手。調査結果を基に3市町が19年度に保存活用計画を策定し、20年7~8月に選定を申請していた。

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