【越山若水】「虹のアーティスト」として知られる靉嘔(あいおう)さんの作品が大野市内では家庭や学校、お店でさりげなく目にすることができるようだ。城下町に現代アートが根付いて、70年近くになる▼靉嘔さんの企画展が市のCOCONOアートプレイスで開かれている。市が市民から借り受けた12枚組作品「四季の花」で、花札を題材とし巨大な虹の花鳥風月に仕立てられた意欲作だ。70年ほど前に大野に芽生えた運動を次世代につなげたいとの願いがギャラリーには込められる。コロナ禍の中、靉嘔さんの作品を一般公開できたことは感慨深いだろう▼「小コレクター運動」と呼ばれ、無名の若手作家の作品を所有し、美術に関心を持ち作家を支援するものだ。美術を通し子どもの想像力を育てる創造美育運動に端を発している。大野では美術教師が中心となり輪が広がり、多くの作品が大野の地に根付き今日に至る▼後に名をなした作家の中で靉嘔さんとの縁がとりわけ深い。渡米の際には資金援助のためにと頒布会を開いている。10年前の越前大野城築城430年祭では、市内の有志が結束し、天守閣内で作品展を開いたほどの人気だ▼靉嘔さんは市民の求めに応じ公衆電話ボックス内掲示の作品「そよ風の九頭竜湖」も制作している。「大野は第2の古里。桃源郷」。世界のAy―Oの大野への思いは熱い。大野と靉嘔さんの絆は貴重だ。

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