【論説】北陸新幹線金沢―敦賀間の工期短縮や建設費縮減を検討する国土交通省の検証委員会の議論が始まった。12月上旬には中間報告をまとめるが、2023年春開業が1年半遅れるとの見通しは、まちづくりを進めていた県内沿線自治体への影響があまりに大きい。最後は国の責任で工期圧縮の成果を見せるべきだ。

 県内で特に不信感を強めているのは県をはじめ、駅舎ができる福井市、あわら市、越前市、敦賀市だろう。駅舎工事は福井駅、南越駅(仮称)に続き、19日には芦原温泉駅でスケジュール通りに着工した。いずれも22年夏ごろ完成を予定する。

 沿線自治体のまちづくりは、予定していた開業時期に照準を合わせ進んでいる。福井市はJR福井駅西口の通称「三角地帯」で大がかりな再開発事業が進み、ビル開業はもちろん23年春を見据えている。開業が遅れれば遅れるほど、ホテルやオフィスの集客への影響が懸念されるだろう。駅東側に観光交流センターとして合築する拡張施設の整備にも取り組んでいる。

 あわら市も同様に事業は前進している。JR芦原温泉駅西口に整備する、屋内外のホールと広場を備えた「賑(にぎ)わい施設」も開業に合わせ完成を予定している。開業時期の見通し次第では、施設に入るカフェレストラン事業者の募集や管理運営などの課題が出てくるのは間違いない。

 市は予定通りオープンする方針だが「市民が集うにぎわいの拠点施設でもあり、開業までの期間を無駄にできない」と利活用の計画見直しに迫られるだろう。補助金を出して西口に誘致したビジネスホテルの営業にも影響が出る。

 国土交通省の唐突な「工事遅れ」の見通しに対し、県内関係者が「受け入れがたい」と突っぱねるのは当然だ。国が1973年に建設を決めた整備新幹線で、設定した開業時期が遅れるのは初めてのことだ。国交省、建設主体の鉄道建設・運輸設備支援機構は地元の声を真摯(しんし)に受け止めるべきだろう。

 国交省は、有識者らでつくる第三者機関の検証委員会で工期短縮、建設費縮減の対策を精査し中間報告を取りまとめる。来夏の最終報告で原因究明と再発防止策を出すとしてる。

 やはり1年半の延期は長すぎる。あらゆる手段を尽くし、工事の遅れをどのように短くするのか方策を出すべきではないか。いずれにしても開業時期の見通しは急ぎたい。官民が一丸となって進めてきたまちづくりへの影響が甚大なだけに、国の決意が問われる。

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