エンジントラブルで巡視艇に救助された船(2020年11月・福井県沖海上)

福井県の海で、釣り中の船の「エンジントラブル」が多発しています!!
10月・11月は釣りの最盛期となるので、当然釣りのために出港する船が増えてきますが、福井県沿岸の海上では今年10月から11月初旬までの約1ヶ月間に、5件もの船のエンジントラブル事案が発生し、巡視艇などによって救助されています。
まさに“頻発”と言えるペースで発生しておりますので、敦賀海上保安部では「船のエントラ拡大注意宣言」を発出します!!

少し大げさなように聞こえるかもしれませんが、陸上での車のエントラとは違って、海上で起こる船のエントラは、エンジンが動かないことによる二次事故に繋がる危険性が非常に高いんです。
風が強く波が高いときには、エンジンを使って船の向きやポジションなどをコントロールすることができますが、エントラを起こしてそれができないようになると、転覆したり、岩場などへの衝突や乗揚げ、さらには乗船者が海に落ちてしまったりするなど、命が危険に晒されることも・・・

なぜこうも船のエンジントラブルが多いのか。
それにはいくつかの原因が考えられます。
まずは、「潮にさらされている」ということ。
海で使われる船のエンジンは、海水の塩分にさらされることによって、腐食や錆が発生しやすく、電気系統の接触不良などが起きやすいです。
次に、「船を使う頻度が少ない」ということ。
毎日のように船に乗っている人は、漁師さんでもない限りほとんどいないのでは?釣りが好きな方でも船を出航させる頻度は、車と比べればごくごくわずか。
つまり、エンジンを使用せずに放置している期間が長ければ長いほど、エンジンの劣化が起きやすく、たまに使用したときに故障が発生してしまうんです。
さらに、「エンジンのメンテナンスが行き届いていない」ということ。
船のエンジンは、自分で業者に出さない限り、専門の整備士によるメンテナンスを受けることはありません。車の車検のように整備士に見てもらう機会がないのです。

最近はネットオークションやフリマアプリなど、インターネットを使えば個人間で中古の船やエンジンを安価で買うことができますが、前の所有者がどれだけエンジンの整備をちゃんと行っていたのかは分かりません。売りたい側は「ちゃんと整備してますよ」と言うのでしょうからね。

船のエントラ事故を防ぐためには、まずは、専門業者での定期的な整備!これにつきます。
エンジンの消耗品交換から劣化状況の確認など、素人ではできない、分からないことがたくさんあるものです。
あと、予備のバッテリーや燃料を必ず確保しておくということ。バッテリー上がりや燃料切れなどのトラブルもかなり多いのです。
当然のことながら、船を発航する前にエンジンの状態などを点検することは、船長さんの「義務」ですので必ず行っていただくようお願いします!

先日、エンジントラブルで救助した船の船長さんから「海保来るの遅すぎ。めっちゃ恐かったわ」と言われました。(※写真の船とは別件です。)
そんなことはありません。現場へは急行しています。
エントラを起こし、広い海を漂う恐怖から時間が長く感じられたのでしょう。
エントラだろうとなんだろうと、救助を求められれば助けに向かうのが我々の仕事です。
ですが、まず、自分たちの命は自分で守るのが、海で遊ぶキホンのキ。船長さんたち、よろしくお願いします!(敦賀海上保安部・うみまる)