外来入り口での検温は行っていない福井大学医学部附属病院=福井県永平寺町

 福井大学医学部附属病院(福井県永平寺町)は、なぜ外来玄関で検温しないの?―。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に、こんな声が寄せられた。同病院は「新型コロナウイルス感染者には無症状の人もおり、入り口での検温だけではウイルスが入ってくるのを完全に防げない」とした上で「相当議論を重ねたが、現状ではクラスター発生防止を目的とした場合、全員のマスク着用と手指消毒が徹底され、各診察室で適切に検温・問診を行うことでリスクを大幅に減らせると判断した」と説明している。

 同病院の外来玄関に入ると「発熱・せきの症状があるか、2週間以内に感染拡大注意地域との往来がある人は電話連絡を」と呼び掛ける看板があり、自動ドアの両脇にアルコール消毒液が置いてある。県内のほかの公立・公的病院などで主流となっているサーマルカメラはなく、特別なスタッフは配置されていない。マスクを着けていない患者がいればスタッフが着用を勧めているという。

 同病院感染制御部の岩﨑博道教授(感染症学)は「来院者にはマスク着用と手指消毒を徹底してもらう一方、少しでも症状があれば電話による自己申告を呼び掛けている」と説明。その上で▽県内が流行期にある▽流行地を訪れた行動歴がある▽日頃からマスク着用や手指消毒を遵守していない▽せき、咽頭痛、全身倦怠感などの症状がある▽37・5度以上の発熱--を挙げ「五つ全てを満たしている場合は新型コロナ感染を考える必要があり、診療の過程で適切な対応をとる」という。

 入院患者への面会については、他の病院と同じように風邪症状のある人は禁止にしたり人数を制限したりしているが、入り口検温は行っていない。岩﨑教授は「非接触型の検温機器は体表面の温度を測るもの。外気温の影響を受ける可能性もある」とも指摘。一般の施設と違い、医療機関は診療・診察の態勢が整っている点を挙げて「当院は院内全体でクラスター発生を防ぐことに重点を置いていると理解してほしい」と話している。

■福井市内の病院は

 福井市内の公立・公的病院の状況を調べると、正面玄関にサーマルカメラを設置し、来院者に検温を行う態勢が主流になっている。

 県済生会病院では看護師や職員2~3人が正面玄関に立ち、来院者に声かけしながらサーマルカメラによる検温を行い、風邪症状の有無を確認したり、手指消毒の声かけをしたりしている。県立病院や福井赤十字病院も、外部スタッフ数人を配置して同様の対応に当たっている。

 福井赤十字病院では派遣スタッフ4人が業務に当たり、来院者に37・5度以上の発熱がある場合は玄関付近の診察室に案内。医師や看護師が問診を行う態勢をとっている。同病院は「ウイルスを院内に入れないのが最大の目的」としている。

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