福井県内で水揚げされた甘エビ

 福井と石川による「甘エビ戦争」勃発か!? 福井県は、県を代表する新たな海の幸としてPRしようと、県内で水揚げされた甘エビ(ホッコクアカエビ)に統一したブランド名を付けて2021年5月に販売を始める。一方、石川県では一足早く9月末から、金沢市がブランド認定した「金沢甘えび」が出荷されている。福井県内の関係者は「ブランド競争に負けられない」と火花を散らしつつ、両県による相乗効果に期待を寄せている。

◆議会で話題に

 「絶対に金沢に負けないでほしい。これはもう『北陸甘エビ戦争』だ」

 10月1日の福井県議会予算決算特別委員会で、清水智信委員(県会自民党)が県幹部に奮起を促した。それには理由がある。清水委員は6月県議会で県産甘エビのブランド化を提言。その後、県や県漁連などが具体化に向け協議を進めていたが、金沢市が「金沢甘えび」と銘打って売り出すとの報道があり、先手を打たれた形となったからだ。

 「福井の甘エビの名を全国にとどろかせてほしい」とハッパを掛ける清水委員に対し、杉本達治知事は「味は太鼓判だ。強力に売り出したい」と応じた。

◆カニ漁とすみ分け

 県によると、甘エビの福井県の漁獲量(2017年)は425トン。日本海側では石川県の863トン、兵庫県の538トンに次ぐ全国トップクラスに位置する。県内市場別では三国が301トンで約7割を占め、敦賀90トン、越前34トンと続く。

 県産甘エビは、底引き網漁の漁場が比較的近いことや、船上での急速冷凍などにより、鮮度が良く鮮やかな赤色が特徴。漁獲高(19年)は越前がに、サワラに次ぐ3番目で約5億3千万円。

 ただ首都圏などで福井のイメージは浸透しておらず、全国的にもブランド甘エビはほぼない。他県と差別化を図ることで、「甘エビ全体の単価が上がり、漁業者の収入増につながれば」(県漁連)との期待がある。甘エビ漁は初夏(5~6月)と秋(9~10月)の年2回ピークがあるため、11月~翌年3月のカニ漁とすみ分けできるといったメリットもあるという。

◆年明けに名称決定

 一方、金沢市と石川県漁協は、現行の出荷規格で最も大きいサイズに分類される甘エビと、「子持ち」の甘エビをブランド認定し、専用のロゴマークを魚箱に付けて9月末に出荷を始めた。さらに金沢市は市内の飲食店と連携したキャンペーンも展開している。

 後発となった福井県はブランド化を急ぐ。年明けに県漁連や仲買人らでつくる検討会を開き、ブランド名や大きさなどの規格、ロゴマークを決める方針。名称だけでもさまざまな意見が出ており、関係者が足並みをそろえる必要がある。

 福井県水産課の担当者は「北陸新幹線県内開業で首都圏の集客が見込まれる中、福井の水産物をオール福井でPRしたい。石川県とも研さんし相乗効果に期待したい」と意気込んでいる。