自民党の稲田朋美幹事長代行(当時)に北陸新幹線敦賀―新大阪間の切れ目ない着工などを求める杉本達治福井県知事(右から3人目)、石井隆一富山県知事(左奥)、谷本正憲石川県知事(左手前)ら=2019年11月14日、党本部

 北陸新幹線建設促進同盟会の歴代会長を務めてきた富山県知事。10月25日投開票の知事選で初当選した新田八朗氏が、福井県以西の知事が適切との考えを示し、福井県内関係者に戸惑いが広がっている。金沢―敦賀間の工事逼迫(ひっぱく)による開業遅れや建設費増の可能性がある中、年末に向けて要請強化の足並みが乱れないか、懸念の声も聞かれる。

 新田氏は28日の当選証書付与式後、報道陣に対し、現職の石井隆一氏ら歴代の富山県知事が担ってきた会長職を返上する方針を示した。「大阪までが最終目標。こちらから押していくより、あちらから引っ張る立場の方が適切」と説明。後任については「福井あるいは関西の方ではないか。一番ふさわしい方になっていただければ」と述べた。

 この発言に「返上と言われても…。10都府県の総意で決めることなので」と困惑するのは福井県新幹線建設推進課の担当者。29日朝の報道で知ったという。

 杉本達治知事も福井新聞の取材に「50年以上、富山県知事に引き受けていただき、この先も変わらぬものだと信じているが…」と報道に驚いた様子。その上で「来春の任期までやっていただき、それまでに皆さんでよく議論して決めればいいのでは」と話した。自身の就任の可能性は「荷が重い」と首を横に振った。

 「知事就任前なので発言の真意はよく分からない。新知事と今後いろいろと詰めていくことになる」。富山県地域交通・新幹線政策課の清水圭課長は福井新聞の取材にこう説明した。大阪までの全線開通による富山県のメリットを強調し、「大阪からの来訪客のほか、東京から大阪に行くときに北陸を通ることも予想され、経済効果がかなり期待できる。同盟会で一体となってやっていくことは変わらないだろう」とした。

 石川県交通政策課の担当者は「報道は承知しているが、何とも言えない」と話した。

 杉本知事と石川県の谷本正憲知事は23日の懇談で、金沢―敦賀間の予定通りの開業など沿線府県が連携して働きかけを強めていくことを確認したばかり。それだけに新田氏の発言に、「北陸3県そして同盟会の足並みの乱れにつながらないか」(福井県内関係者)との懸念の声も聞かれる。

 杉本知事は福井新聞の取材に「早く大阪につながなければいけない思いは富山県も一緒だろう。新田さんが(新幹線に)熱意がないということは全くないと思う。沿線一体で国に働きかけていきたい」と述べた。

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