50歳じゃない、50周年だ。それだけでもう、ただただ恐れ入ってしまう。変わることのないあの声、あの佇まい。決して「穏やか」だけではすまない作風なのに、その顔を見られただけで、いつ訪ねても同じメニューで出迎えてくれる町の中華屋のような安心感を覚えてしまう。これが歴史というものなのだろうか。

 2020年9月にデビュー50周年を迎える井上陽水が、2019年に開催したツアー「井上陽水50周年記念ライブツアー『光陰矢の如し』〜少年老い易く 学成り難し〜」。36会場をめぐり87,000人という動員を誇った本公演のなかから、10月20日開催の東京国際フォーラム・ホールAでの模様を完全収録したのが本作だ。

 『アジアの純真』『東へ西へ』、『少年時代』に『リバーサイド ホテル』などなど、歴代のヒット曲の数々が惜しげもなく披露されるから、ファンとしてはもう息をつく暇もない。さらに、あの伝説の『カンドレ・マンドレ』だ。このライブ映像は初めてみたかもしれない。ど派手なお祭り騒ぎではないものの、彼らしい祝祭のムードに満ちたセットリストで大充実、大満足の132分があっという間にすぎていく。

(ZEN MUSIC・6300円+税)=玉木美企子」

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