コロナ禍で売り上げが伸びている電子ピアノの売り場=10月16日、福井県福井市米松1丁目の鳥山楽器

 楽器の売れ行きが伸びている。新型コロナウイルスの感染拡大による自粛生活で、自宅で過ごす時間が増えたためとみられる。「生の響きに癒やされ、夢中になれる」。大手楽器店によると、売れ筋は、手軽に始められるウクレレやギター。どちらも昨年同期比で売上高が2倍を超える人気だ。

 ■長い在宅時間

 首都圏を中心に40店を展開する山野楽器。東京・銀座にある本店では、妻と一緒に訪れた男性(52)が、フロアに並ぶ電子ピアノを見比べていた。子どもの頃にピアノを習っていたといい「鍵盤をたたきたい気持ちはずっとあった。家にいる時間が長くなったので、どんな電子ピアノがあるのかと思って」。

 担当者によると、ヘッドホンを使えば近所に気兼ねなく弾ける電子ピアノは、幅広い世代から問い合わせがある。6~8月の売上高を昨年同期と比べると、電子ピアノは1・40倍、ポータブルキーボードは1・20倍と伸びている。

 電子ピアノを上回る勢いを見せているのがウクレレ。初心者向けには1万円台からあり、2・10倍の売り上げで、伸び率はトップだ。2番手はアコースティックギターで伸び率は2・08倍。若い女性を中心に人気を集めているという。

 ウクレレ製造、販売の「キワヤ商会」(東京都台東区)では5月以降、オンラインでの注文が急増。販売本数は昨年同期のほぼ倍となり、生産が追い付かない状態だ。

 好調な楽器販売について山野楽器広報宣伝部の須永由美子部長(58)は「弾く楽しみは格別。楽器をやりたいと思っていて、ずっと我慢していた人たちが『おうち時間』が増え、背中を押された面もあるのだろう」と分析している。

 ■男女世代問わず

 新型コロナ禍での楽器の人気は、福井県内でもみられる。「7月ごろからキーボードや電子ピアノ、ウクレレなどが売れ出した」と話すのは、鳥山楽器(福井市)の鳥山純男社長。男女問わず初心者や、久しぶりに演奏したいという個人、グループが目立つといい、電子ピアノやウクレレは品薄状態が続く。

 カクメ楽器店(福井市)ではアコースティックギターが品薄に。担当者は「8月ごろまで学生や社会人の若い人を中心に、2~4万円台のギターがよく売れた」と話す。

 コロナ禍による学校休校や、吹奏楽のコンクール中止などで楽器店のダメージも大きい。鳥山楽器では4月、運営する音楽教室が休業を余儀なくされた。時ならぬ楽器需要に、鳥山社長は「時間に余裕が生まれたことで、新たに楽器をやろうという人が増えるのはありがたい」と話していた。
 

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