年明けに、腰部脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)の手術を受けました。7月に入って右腰と下腹に締め付けられるような違和感が出るようになりました。少しずつ頻度が増え、締め付け感がきつくなっています。手術してもらった病院や、ほかの内科でも検査してもらいましたが、異常はないようです。何が原因なのでしょうか。(福井県嶺北地方、70代女性)

【お答えします】石井孝佳・福井総合病院整形外科医長

 ▽組織肥厚し神経を圧迫 

 背骨(脊椎)は「椎骨」という骨が上下方向に積み重なってできています。椎骨の真ん中には「脊柱管」という神経の通り道があります。上下の椎骨のつなぎ目には「椎間板」「椎間関節」「黄色靭帯」などの組織があり、これらは加齢により肥厚し、脊柱管内に張り出してくることがよくあります。すると脊柱管は狭くなり神経が圧迫され、下肢の痛みやしびれが生じてきます。症状がひどくなると下肢の筋力低下を来すこともあります。これが「腰部脊柱管狭窄症」です。

 治療は、保存的治療と手術的治療があります。手術的治療は、画像検査上、神経の圧迫が著しく保存的治療の効果が乏しい場合に考慮されます。手術の方法としては、黄色靭帯や椎間板などの圧迫因子を取り除く「除圧術」が基本ですが、腰椎すべり症などで隣り合う椎骨間の不安定性が強い場合には、除圧術に加えて、椎骨間に骨移植を行って最終的に骨をくっつける「固定術」を併用することもあります。

 ▽半年程度は筋力低下も 

 近年、腰椎手術はできるだけ背筋へのダメージを減らすよう低侵襲化が進んできてはいるものの、決してゼロにすることはできません。手術後の背筋の状態を調べた医学論文によると、術後半年が経過しても腰の筋力は手術前の状態まで回復していなかった、とされています。手術を受けて半年も経過すれば、家事や仕事などの生活動作自体は徐々に増えていき手術前と同程度に行っていることでしょう。しかし、実際には腰の筋肉がまだ回復しきっていないために疲れやすく感じたり、腰の突っ張りや痛みなどの症状を伴ったりしている可能性があります。

 対策としては、まだ腰が本調子でないことを自覚し、体操や体幹の筋力トレーニングを継続していくことが大切ではないかと考えます。

 下腹部の締め付けるような違和感については、筋力低下による影響も考えられる一方で、手術を行ってから半年程経過してから出現していますので、手術との直接的な関連性は低いように思います。腸管などに異常がないか内科や消化器科で相談するのがよいでしょう。

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