タブレット端末で宿泊客に伝統工芸の魅力を伝えるアプリの開発を進める萬谷聡常務=福井県越前市京町3丁目

 インバウンド(訪日外国人客)の誘致に向けて福井県越前市京町3丁目で宿泊施設の整備を進めている老舗料亭「萬谷」が、丹南地域に集まる伝統工芸の魅力を宿泊客に発信するアプリ開発を進めている。部屋に置くタブレット端末から工芸の特徴や体験メニューなどを紹介する。アプリは地域の宿泊、観光施設とも共有していく予定。ふるさと納税を活用したクラウドファンディング(CF)で開発資金を募っている。

 同社は市と市観光協会の補助を受け、料亭隣の休業中だった旅館の再生に着手。2部屋の改装はすでに終了し、現在は一部取り壊した後に新築する1棟貸し部分の整備を進めている。改装部分は年内、新築部分は来年2月ごろの営業開始を目指している。

 料亭ではこれまでも、食器や内装に地域の伝統工芸を活用。越前和紙を使った懐石料理の提供にも取り組んでいる。宿泊客向けに設置するタブレット端末は、市内の和紙、刃物、箪笥(たんす)をはじめとする丹南の伝統工芸それぞれの特徴や歴史などを紹介するとともに、見学や体験が可能な施設や工房、アクセス、関連イベントなどの情報を提供し、宿泊客と産地をつないでいく。

 趣旨に賛同する他社ともアプリを共有していく方針で、それぞれの施設が情報を更新できるようにして利便性を高めていくという。同社の萬谷聡常務(34)は「丹南には魅力的な工芸が集まっているが、全国的にはまだ知る人ぞ知る状態。一般的な観光の食べる、見るという目的だけでなく、幅広い体験の選択肢がある地域であることを伝えたい」と話している。

 プロジェクトは、ふるさと納税を活用した福井県の新事業創出支援事業の一つ。福井新聞社が情報発信、福井銀行が経営サポートで協力している。250万円を目標額に10月30日まで資金を募っている。支援希望者はCFサイト「レディーフォー」から寄付できる。

関連記事