下流側から見た足羽川ダムの完成イメージ。洪水時のみ川の流れを止めて水をためる(足羽川ダム工事事務所提供)

 国土交通省近畿地方整備局は10月14日、国直轄の足羽川ダム(福井県池田町)の本体工事に11月15日に着手すると発表した。1983年に実施計画調査が始まって以来、建設地の変更など37年の曲折を経て大きく動きだす。洪水時だけ一時的に水をため、安全な量だけ下流に流す流水型としては最大規模を誇る。総事業費は約1300億円、2026年度の完成を目指す。

 足羽川ダムを巡っては、約220戸が移転する旧サイト(旧美山町=現福井市)は社会的影響が大きいとして、1999年に代替案として足羽川支川の部子川に造る計画が公表された。建設反対の声はあったが、2004年の福井豪雨を機にダムの必要性を指摘する声が強くなり、07年に正式決定した。その後も、民主党政権による09年のダム事業見直しで凍結され、3年近い空白期間もあった。

 足羽川ダム工事事務所によると、流水型を採用しているダムは珍しい。国直轄で完成したものはなく、全国5カ所で計画もしくは工事が始まっているが、総貯水容量2870万立方メートルの足羽川ダムはこの中でも最大規模という。80年に1度の大雨が降った場合、浸水面積7600ヘクタール減、浸水戸数3万戸減などの被害軽減効果があるという。事務所は「福井豪雨級の大雨にも対応できる」としている。

 国交省は14年6月、ダム建設に伴い水没する県道の付け替え工事に着手した。17年7月からは、近隣の水海川から洪水時にダム本体へ水を流す導水トンネルの建設工事が行われている。

 現地では11月15日、本体建設工事の起工式が行われる。ダム堤体は高さ96メートル、堤頂の長さは351メートル。工事は樹木の伐採から始まり、ダム堤体建設に向けた基礎掘削に入る。山肌を削って固い岩盤を出し、その上にコンクリートを打設していく。

 足羽川ダムの政府予算では2020年度、過去最大となる101億円が盛られ、21年度予算の概算要求では114億6900万円が計上された。

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