デビュー15周年記念の両A面シングル。これまでもキャッチフレーズでもある“クリスタルボイス”を生かした寒空や北国をテーマとした楽曲に定評があったが、本作にて幅広いポップスファンをも虜にしそうな気がする。

 『雪風』はKANのコアファン向けの限定CDに収録されていた隠れ名曲のカバー。ピアノと弦楽四重奏の編曲をKANが手掛け、安定感のあるピアノは人気アイドルグループBEYOOOOONDSの小林萌花が演奏している。雪がしんしんと降るような静かな演奏の中、“君”との再会を穏やかに願うようなバラードで、松原の優しい歌声は先の見えない約束でも信じさせる力がある。槇原敬之やKiroroのスローな楽曲が好きな人にもオススメ。

 『悲しみのニューヨーク』の方は、二度と会えない人との想い出を回想するスロー・バラード。ピアノや弦楽器に鈴の音に似た音が加わることで、『雪風』よりも都会的な街並みをイメージさせる。歌詞中に「ハドソン川」や「七番街」、「摩天楼」が登場するが、松原の誠実な折り目正しい日本語の歌唱から、ニューヨークというより仙台や札幌あたりの美しい夜景を想像した。この日本的な雰囲気が出せるのも彼の強みだろう。

 たった2曲だけでも、なんだか心が洗われたような気分。本作を聴けば、相手を急かしたり疑ったりする前に、自分の本当の想いや願いを整えておく余裕が生まれるはず。

(テイチク・1227円+税)=臼井孝

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