駅舎の工事開始が未定のままの北陸新幹線敦賀駅=2020年4月

 北陸新幹線金沢―敦賀間の2023年春開業に「黄信号」がともっている。与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の細田博之座長が、一部工事の工期逼迫(ひっぱく)を踏まえて「厳しい」と表現したからだ。開業遅れは明言していないものの、与党PTで年末までに調整していく方針。福井県内の経済界や沿線自治体は「百年に一度の好機」と捉えてまちづくりの準備を進めているだけに「約束を守ってほしい」と危機感を募らせている。

 「国家プロジェクトとして決めた以上、国には責任を持って工期を守ってもらいたい」。こう強調するのは福井商工会議所の高見和宏専務理事。焦りを募らせるのには理由がある。JR福井駅周辺では新幹線の県内延伸を見据えた民間投資が進んでいる。開業の遅れは富山、金沢との地域格差拡大につながり、新大阪までの全線開業の後ろ倒しにもなりかねないからだ。

 沿線自治体も固唾(かたず)をのんでいる。福井市の東村新一市長は「工事なので計画通りにいかない部分も出てくる」。冷静に受け止めつつ「魅力ある県都のまちづくりや認知度向上など我々ができることをやり、計画通りの開業を国にお願いしていくしかない」と語る。敦賀市の渕上隆信市長は「23年春の敦賀開業の目標に向かって受け皿づくりに努力していく」とコメントした。

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 金沢―敦賀間は12年6月に工事が始まった。当初、敦賀開業は26年春予定だったが、県内政財界の強い求めで15年1月に3年前倒しが決定した。だが「その分だけタイトなスケジュールになったのは間違いない」とベテラン県議は語る。

 入札不調がさらに工期を厳しくしている。平野が多い金沢―敦賀間の高架橋の比率は65%で、他区間の15~47%より割合が高い。対応できる業者が限られており、落札業者が決まらない事態が頻発している。工事現場での新型コロナウイルス対策費が工費を押し上げている面もあるようだ。

 しかも石川との県境にある加賀トンネルでは地盤の膨張によってひび割れが発生、追加工事が必要な状況だ。高さ約35メートルで北陸新幹線の駅舎で最大の敦賀駅も工事が遅れ、本格着工は未定となっている。

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 9月の自民党総裁選の際に、菅義偉首相は県会最大会派の県会自民党幹部らとのウェブ会議で「予定通り延伸できるよう対応していく」と発言した。リモート対談した山岸猛夫会長は「その言葉を信じている」と祈るような表情で話す。

 細田座長は北陸3県知事らが9日に行った緊急要望に対し「財政、地方負担、並行在来線の問題もある。年末までに全体をパッケージで調整していく」と言及した。ここ3カ月が正念場となる。県会北陸新幹線建設促進議員連盟の山本文雄会長は「今こそ県選出国会議員には先頭に立って取り組んでもらいたい」と注文した。

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