福井県内のクマ出没件数

 福井県内では近年、冬眠前に餌を求めて活動するクマがまちなかに出没するケースが相次ぐ。餌となる山のドングリの不作・凶作が大きく影響しているが、県自然環境課では、山際にすむ「里クマ」が増えていることも要因とみている。

 同課によると、県内では1970年ごろの造林に加え、休耕地や耕作放棄地の増加、過疎化などで山そのものが“拡大”している。担当者は「動物が平野部のすぐ近くまで生息域を広げている。奥山の個体と比べ、山の餌の影響が(まちなかへの出没に)顕著に出やすい」と話す。

 標高400~600メートル以上で育つブナ、ミズナラは種ごとの実り具合が同調するため不作の年は一様に激減するが、400メートル以下に分布するコナラは木によってばらつきがあり、不作でも実る木があるため、クマが里山に生息しやすい要因の一つとみる。

 豊凶年も崩れつつあり、今年8月に県内46地点で行われた着果調査では、ブナは凶作、ミズナラとコナラは不作。3種とも実りが悪い年は4年ごとに訪れる傾向だったが昨年、今年は2年連続で不良となった。

 餌が少なければ奥山に暮らすクマは下り、里クマはさらに下って餌を求めにまちへ出る。2019年は県内で10月7日~11月12日に9人が被害に遭った。今年は10月3日までに、9月30日と10月2日に勝山市内で住民が襲われけがを負い、同市内のほか越前市、坂井市でも民家周辺に出没し市民の生活が脅かされるケースが増えている。

 県は対策として、柿やギンナン、クリのほか生ごみなど餌となるものを放置しないことや、柿の木などの近くでの作業は日中、複数人で行うよう呼び掛けている。

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