情報提供の手法によって環境保全の寄付額が変化するとの研究結果をまとめた吉田准教授=福井県福井市の福井工大福井キャンパス

 環境保全活動への寄付金を募る際、情報発信の仕方で寄付額が変化するとの調査結果を福井工大環境情報学部の吉田友美准教授(環境経済学)らの研究チームがまとめ、国際科学誌「エコシステム・サービス」で発表した。文章と図表で情報を発信した場合に寄付額が増加した一方、動画では減少した。吉田准教授は、動画での発信が必ずしも効果的ではないとした上で「クラウドファンディングなどで協力を呼び掛けるために動画を作る際は注意が必要」としている。

 チームは、吉田准教授のほか、東京大、北海道大、九州大、国立環境研究所などの7人。

 気候変動などの脅威にさらされている沖縄県のサンゴ礁の保全対策をテーマに、2014年2月にインターネットでアンケートを行い、全国の約1万人から回答を得た。

 チームは、サンゴ礁の危機について▽情報を与えない▽簡潔な文章と図表で説明▽詳細な文章と図表で説明▽動画を見せる―の四つにグループ分けし、1年間で寄付しても良いと思う金額を100円~5万円から選んでもらった。メンバーは「印象が強く記憶に残りやすい動画が最も寄付額が高くなる」と予想したが、情報を与えない場合と比べ、文章と図表では12~19%寄付額が増加したが、動画では5%ほど減少した。

 吉田准教授は、動画の長さや調査法によって結果は変わる可能性があるとした上で「文章を読む行為に比べ、動画での説明は受動的な要素が強い。自分のペースで読み進めることができず、逆にいらいらさせてしまった可能性がある」と推測している。

 アンケートでは、サンゴ礁の保全に年6千円~8千円の寄付をしても良いと考える人が全体の約6割に上り、女性の割合が高いことも分かった。論文は「エコシステム・サービス」のウェブページ上で閲覧でき、吉田准教授は「国や地方自治体、NPOなどがサンゴ礁保全政策を検討する参考になれば」と話している。