原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、文献調査の応募を検討している自治体に批判の声が出ていることについて、福井県の杉本達治知事は10月2日、「原発に対する国民理解が進んでいない状況にあり、大変残念に思っている」と述べた。その上で、理解の醸成に向け国の説明責任を強く求めた。
県議会予算決算特別委員会で、力野豊委員(県会自民党)の質問に答えた。
核のごみの最終処分について、杉本知事は避けては通れない課題との認識を示し、「原子力に限らず、電力の恩恵を受けてきた国民全体として解決しなければいけない」と指摘した。国や処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は国民の理解促進にさらに努める必要があるとした。
最終処分場選定に向けた文献調査を巡っては、北海道寿都(すっつ)町が8月に応募検討を表明。10月8日、応募を正式表明する意向。
町から約40キロ離れた神恵内(かもえない)村でも村会の常任委員会が2日、応募検討の請願を採択した。これに対し、北海道の鈴木直道知事は2町村に慎重な対応を求めており、周辺の漁協なども反発している。
2007年には高知県東洋町が全国で初めて応募を表明したが、その後の反対運動で撤回している。
処分場選定の第1段階である文献調査を受け入れた自治体には国から2年間で最大20億円の交付金が支給される。