「あんしんや」を使用した海中転落者救助訓練の様子

あの猛烈に暑かった夏が終わり、めっきり秋になりました。
海と言えば夏のイメージですが、秋も海のレジャーシーズンなんです。
サーフィンやシーカヤック、最近はやりのサップなど、福井の海にはまだ多くの方が来られて楽しまれています。
その中でも最も楽しまれるのは、秋の海が最盛期となる「釣り」!
岸壁からのファミリーフィッシング、本格的な磯場からの釣り、プレジャーボートや手漕ぎボートに乗って行う船釣りなど、様々な釣りが楽しまれる季節です。

一方で、過去の統計から、釣りの事故が多発するのは10月と11月。
昨年は福井県内でこの2か月間に4人の方が釣り中に事故に遭い、そのうち1人が亡くなっています。
今年に入ってから福井県では、釣り最盛期を前に9人の方が事故に遭われ、そのうち3人の命が失われており、昨年と比べて増加傾向にあります。

釣り中の事故で最も多いのが「海中転落」です。
海中転落とは文字通り、岸壁や磯、船の上から海中に落ちることで、その多くが、靴や服装などの装備が適していなかったことや、不注意で足を踏み外したことによるもの。
踵を踏んだ靴やサンダルで消波ブロックから足を踏み外したり、磯場で高波に足をすくわれたり、夜の暗闇の中で足を踏み外したり・・・
家族で岸壁に釣りに来て、親が目を離した隙に岸壁際で遊んでいた子供が海に落ちたということもありました。
滑りにくく脱げにくい靴、動きやすい服装、夜間であればライトの携行(点灯)は海中転落を防ぐうえで必須です!お子さんからも絶対に目を離さないで!

また、数多くの海中転落事故を調査して特に感じるのは、陸から釣りをする人の多くが救命胴衣(ライフジャケット)を着用していないということです。
きっと「自分はこんな足場のいい場所で海に落ちるほどどんくさくない」「ライジャケなんて暑いしジャマだし格好悪いし着てられない」「もし落ちても泳いで上がれるから大丈夫」などと考えられている方が多いのだと思います。
ですが、服や靴を着用したままで泳いだり、長い間浮かんでいるのは至難の業。
それに、岸壁に上がるのはかなりの高さがありますし、磯場は岩の形が複雑だったり波の影響を受けたりするなど、私たち海上保安官でも元の場所に上がるのは難しいことなのです。
海中転落の多くは些細なミスから起きるもの。ミスをしない人間なんていません。

命懸けで釣りをしている方なんていないはずです。
必ず救命胴衣を着用してください。

あとは、たとえ海に落ちてしまったとしても、すぐに発見してもらえるよう複数人での行動を心掛けること、海上保安庁に救助を求められるよう防水機能付きの携帯電話を肌身離さず携帯しておくこと、一人で釣行する場合でも家族や友人に「いつまでに帰る」「どこに行く」ということを伝えておくことが大切です。

また、以前この敦賀海保日誌で紹介した救命器具「あんしんや」を作成して、釣道具の傍らに置いていただければ、自分や他人が海中転落したときに、すぐ救助することができます!
「あんしんや」の使用方法や作り方は敦賀海上保安部のホームページからチェックしてください!

今年、釣り中の事故が増加しているのは、コロナ禍における休日の過ごし方として、海釣りは屋外での活動で「密」となりにくく、人口密集地を避けて海辺で遊ぶ方が増えていることが一要因であると思われます。
このような中、敦賀海上保安部では、10月と11月の2ヶ月間を「釣り事故防止活動強化期間」として、パトロールを強化します。
釣り人の皆さん、福井の海でお会いしましょう。(敦賀海上保安部・うみまる)
 

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