【越山若水】政治家とは何かを深く見つめた話題のドキュメンタリー映画を見た。「なぜ君は総理大臣になれないのか」(大島新監督)と「はりぼて」(五百旗頭(いおきべ)幸男、砂沢智史監督)である▼前者は、立憲民主党の小川淳也衆院議員(49)の浮き沈みの激しい17年間の政治家人生を追う。東大卒業後、自治省(現総務省)に入省したが当時の自民党政治に疑問を感じ、旧民主党から政界入りを決意。落選するも、その後の選挙で比例復活を果たし5期目になる▼誠実な人柄で、持続可能な社会への改革の必要性を訴え続ける。ただ、地盤・看板・カバンはなく、選挙に両親や妻子を巻き込んで苦労をかけ、政界再編の波にほんろうされる。権力闘争は苦手で、家族からは「政治家に向いてない」と言われる。悩みながらも信じる道を愚直に歩む姿を通して、日本の政治の未来を問う▼「はりぼて」は、富山市議14人が辞職した政務活動費の不正受給を、地元テレビ局の記者が追及した作品。情報公開請求で、白紙領収書を使うなどしていた事実を暴いた▼政治アナリスト伊藤惇夫さんによると「政治家とは日本にはほとんど生息していない希少動物。政治屋が大半」だとか。「政治によって生きる」政治屋でなく、「次の時代を考え、政治のために生きる」政治家を選ぶ有権者と、判断材料を提供する報道機関の責任を痛感させられた作品である。

関連記事