再開発組合の退去請求は不当だとして営業を継続する方針を明らかにした飲食店「五目亭駅前店」=9月30日、福井市中央1丁目

 福井県福井市の通称「三角地帯」の福井駅前電車通り北地区A街区再開発事業の区域内で飲食店「五目亭駅前店」を経営する五目亭(本社福井市新保北1丁目、五十嵐忠和社長)が9月30日、地権者らでつくる施工者の再開発組合による退去請求は不当だとして市内で記者会見を開いた。解体工事が始まる10月1日以降も営業を続けるとしている。

 組合によると、区域内の解体工事は予定通り1日に着手する。ただ、同店の立地場所は、再開発ビル3棟構成のうち、最も工期を要するホテル・オフィス棟の予定地に位置しており、施工計画を変更する必要があるという。2023年春の北陸新幹線県内延伸までの開業を目指すスケジュールへの影響は今後検証する。

 同社は、A街区の区域内で同店と「八葉」(8月末閉店)の2店舗を経営。代理人弁護士によると、再開発ビルでも店舗の借家権の継続を希望していたが、組合の権利変換計画の手続きに際し今年6月、十分な説明がないまま借家権が消滅する書類を求められ「半ば強制的」に提出させられた。8月下旬には組合から、9月30日までに退去を求める通知が届いたという。

 代理人弁護士は会見で、組合の説明が不適切だったため、再開発後の借家権を奪われたと主張。組合から提示された退去に伴う補償も不十分とした。五十嵐社長は「大家さんからは契約の破棄を直接聞いたことはない。『組合が言うからそれに従っている』と聞いている」と説明し、「数カ月で出て行けという組合には残念な思い」と述べた。

 同社側は、県と国に権利変換の処分取り消しを求める行政不服審査を近く行う方針を示した。組合を相手に処分無効を争う提訴も視野に入れているとした。

 組合は報道陣の取材に応じ、権利変換計画の縦覧などで意見を受ける期間を設けながら手続きを進めてきたと説明。「県、市と協力しながら協議を続ける。法的な基準に従った補償額算定の枠の中でできるだけの努力をしたい」としている。

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