唾液によるPCR検査を行うための検体管=福井県福井市の福井厚生病院・健診センター

 新型コロナウイルスの症状がない人を対象に、自費(自由診療)でPCR検査を行う医療機関が福井県内でも出てきた。保健所や帰国者・接触者外来を介した行政検査(検査実費は公費負担)とは異なり全額自己負担だが、実際に陽性が判明したケースもある。不安に思う人のニーズに応えている一方、医師や専門家は「結果が陰性でも、過信したり感染対策を緩めたりしないで」と念を押している。

 福井市の福井厚生病院は8月から、健診センターで平日午後3時~4時のみ、1日5人までの完全予約制で実施している。同意書に署名し医師の指示の下、別室(風除室)で受診者本人が筒型の容器に唾液を1~2ミリリットル入れる。検体は県外の民間検査機関に送って翌日に結果が判明。陽性の場合は直ちに電話で報告し、保健所にも届け出る。陰性でも2、3日後には本人に郵送で通知される。

 同病院での費用は税別1万8千円で、証明書発行はプラス同3千円。9月中旬までに約20人が「豪雨被災地へ応援業務に行く」「転勤で福井に赴任」「県外での結婚式に参列」などの理由で検査を受けた。これまで陽性者はいなかったという。

 同病院健康増進センター長の木村成里医師は唾液PCR検査について「鼻の奥に綿棒を入れ粘液を採る方法より受診者の苦痛が少なく、飛まつ感染リスクも低い」と説明。一方で「発症10日目以降は陽性率が下がるデメリットもあり、100パーセント確実な結果が出るわけではない。それでも、さまざまな理由で移動する人のニーズに応えたい」と話す。

 あわら市の加納病院は、鼻の奥の粘液を採る自費検査を4月下旬に開始。唾液検査も加えて9月中旬までに40人超が自費PCR検査を受けた。県外滞在歴のある1人の陽性が判明し、保健所に届け出た。

 同病院では抗原検査や抗体検査も自由診療で行っており、種類によって税込み1万2千円台から1万5千円前後の料金で証明書も発行している。中川智和院長は「口コミで知った人が嶺北一円から来る」とした上で「陽性者を一人でも多く見つけ、陰性だった人は経済を回す必要がある。現時点でほかにやり方はないのではないか」と強調する。

 福井大医学部附属病院感染制御部の岩﨑博道教授は「自費PCR検査は不安解消の方策として良いことだが、陽性が判明した際、確実に把握し対応できることが重要」と指摘。その上で「陰性結果が出ても感染していないとは言い切れず、検査後に感染する可能性もある。結果を過信せず、マスク着用や手洗いを継続してほしい」と話している。

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