イシゴカイが品切れとなっている釣具店のエサ売り場=福井県坂井市内

 キス釣りには定番の生き餌、通称「イシゴカイ」が品薄となっている。福井県内では8月半ば以降に入荷が滞り「長年店をやってきて初めて」と漏らす釣り店主も。全国的な傾向で、背景には新型コロナウイルスの影響で供給が減少、変化したところに、新たな釣りブームが重なったことなどがあるようだ。

 釣具店に並ぶイシゴカイは近年、大半が養殖で、価格は20グラムで300円前後と比較的安価。小さく扱いやすいため投げ釣りにはポピュラーな餌だが、日本釣振興会福井県支部長で福井市内で釣具店を営む今田武さんは、お盆休み前に突然、卸売業者から「次はいつ納品できるか分からなくなった」と告げられたという。毎週あった入荷が3週間近く品切れとなり、入荷できてもごく少量。今田さんは「50年近く店をやってきたが初めて」と困り顔で話す。

 坂井市内の別の釣具店員は「イシゴカイを求め何軒もはしごしてくる客もいる。入荷時期の問い合わせも多い」。在庫がない場合、ほかの虫エサや疑似餌を勧めているという。

 県内の複数の釣具店と取引している兵庫県の卸売業者によれば、国内で流通するイシゴカイは多くが高知県産で、一部は中国産。担当者は品薄の背景を「第一に、新型コロナの影響で中国の養殖場が一時稼働できず、国産に需要が集中した」と説明。さらに日本海沿岸では例年5月末から本格化するキス釣りが、山陰地方などでは4月末ごろから釣れ始めたため、需要が前倒しになったという。加えて“3密”を避ける屋外レジャー人気の高まりが需要に輪を掛けたと、「さまざまな要因が重なった」と話す。

 今田さんは「初心者や家族連れにはイシゴカイを使ったキス釣りは手軽で安全。供給が変化したところに新たな釣りブームが訪れ、品薄が決定的になった」という。

 養殖イシゴカイは、出荷サイズに育つまで3~4カ月とされる。釣り愛好家の会社員の男性(43)=福井市=は「キスの食いつきが良く、いつも安定的に入手できたイシゴカイは重宝していた。コロナの影響がこんなところに出るとは」と話していた。

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