JAXAなどが開発を目指す氷雪モニタリングシステム

 滑走路の雪氷状態をリアルタイムに把握する、世界初のシステムの開発を目指し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2020年度と21年度の冬、福井空港(福井県坂井市)で実証実験することが決まった。実用化すれば積雪時の航空機の離着陸判断がスムーズになり、遅延や欠航低減につながる。JAXAを誘致した福井県は「県内企業が航空産業へ参入する足がかりになれば」と期待している。

 福井空港は滑走路が1200メートルと短いため、ジェット機が離着陸しづらく定期便がない。利活用が課題になる中、▽積雪や落雷が多い▽雪国の技術を持つ企業と連携できる▽離着陸が少なく安全に実験しやすい―ことを“売り”に、県は2016年からJAXAに実験利用を働き掛けていた。

 一般的に、空港では離着陸の障害となるため滑走路に機器を置けず、積雪は滑走路を閉鎖して人が直接計測している。開発を目指す「雪氷モニタリングシステム」は滑走路にセンサーを埋設して自動計測し、人工知能(AI)で雪の厚さや種類、水、氷を判別する仕組み。滑走路の滑りやすさを計算して離着陸や除雪の素早い判断に生かし、▽運航の遅延・欠航の低減▽事故やインシデントの低減▽除雪の適切なタイミング決定―などにつなげる。

 JAXAなどが開発中の「埋設型雪氷モニタリングセンサー」は25センチ四方、高さ50センチの箱形で、中から上方へ向けて光を当て、光の散乱具合を計測する。本年度は福井空港の滑走路周辺の地上に1台置き、JAXA研究者が3~4人、計1カ月ほど滞在し実験する。21年度の冬は地中に1台埋設する。北海道の空港でも実験し、25年度の実用化を目指す。

 JAXAは、福井空港を選んだ理由について「北海道と雪質が異なり、雪の水分が多い。離着陸も少なく実験しやすい。福井には雪の観測技術を持つ企業があり連携できる点もメリット。今後、企業の知見も反映できたら」と話している。

 共同研究を進めるため、県は来月から職員1人をJAXAに派遣する。県未来戦略課は「航空分野の安全性に貢献できるよう協力していきたい。若い人たちの夢にもつながれば」としている。

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