【論説】立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の初代代表に立民の枝野幸男代表が選ばれた。党名も「立憲民主党」を継承することに決まった。ようやく固まった野党第1党は来週発足する新政権への対峙(たいじ)を求められる。政権担当能力をどう磨き、政治に緊張感をもたらすことができるか、本番はこれからだ。

 新党の規模は衆院106人、参院43人の計149人。衆院は2009年の政権交代直前に迫る規模となったが、再び政権交代を果たせるかは甚だ心もとない。自民党総裁選の告示を受けた共同通信社の世論調査で、自民党の支持率は第2次安倍内閣以降、最高の50・6%だったのに対して、立民は10・7%、国民は1・1%止まり。次期衆院選比例代表の投票先でも自民48・1%、新党15・7%と差は大きい。

 失った有権者の信頼を取り戻すには、分裂と下野、そして混迷という過去をいかに総括するかだろう。旧民主党は09年8月の衆院選で大勝し、政権交代を成し遂げたが、子ども手当の創設や高速道路無料化などの目玉政策を打ち出したものの財源不足などで迷走。消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革を巡って分裂、12年12月の衆院選で惨敗し野党に転落した。

 その後、維新の党との合流に際し党名を「民進党」としたが、離党者が続出。17年には小池百合子東京都知事が結成した「希望の党」との合流を巡って分裂し、枝野氏は立民を立ち上げた。一方の希望は国民民主党となった。今回の合流でも国民の玉木雄一郎代表ら14人は参加せず新党結成を目指している。「原発ゼロ」の綱領に対して、電機連合や電力総連などの組織内議員らが反発、連合も股裂き状態にある。

 安倍晋三首相は「あの悪夢のような民主党政権。決められない政治で経済は失速した」などと度々述べた。枝野氏や旧民主幹部らは反発したが、有権者の記憶の中にも深く刻まれ、今なお信頼回復に至っていないことを強く認識すべきだ。枝野氏は「政権を取ったら何もかも変えられるとの印象を与えたのは、一番の反省だ」とした。

 代表選で枝野氏は、新型コロナウイルス禍で社会のもろさが露呈したとして、公的サービスの拡充を訴えたほか、消費税減税にも踏み込んだ。一方で対抗馬の国民の泉健太政調会長が「政策提案型」の姿勢を唱えたのも、有権者の目には立民が「疑惑追及型」一辺倒で政権担当能力がないと映っているとみるからだ。

 新党綱領の冒頭には「『未来への責任』を果たす」とある。旧民主党の負のイメージをぬぐい去り、有権者の期待を集められるかが問われる。

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