コロナ禍による売り上げ減の影響でテナントの雑貨店が退店したエルパ。後継テナントは既に決まっているという=福井県福井市大和田2丁目

 福井県内のショッピングセンター(SC)で、新型コロナウイルスによる売り上げ減を理由としたテナントの退店がじわりと出始めている。飲食、アパレル、雑貨、学習塾など幅広い業種におよび、県内SC関係者からは「コロナ禍がこのまま続くと、テナント撤退が相次ぐ恐れがある」と懸念が広がっている。

 ■「寝耳に水」

 スガキヤを展開するスガキコシステムズ(愛知県名古屋市)は8月28日、北陸地区(福井、石川両県)全9店を9月30日に閉め、撤退すると発表した。県内は、パリオ福井店、鯖江アルプラザ店、アピタ敦賀店の3店が対象。新型コロナ感染拡大で客数が減ったことが主な要因で、不採算店や契約満了店を中心に閉店するという。

 スガキヤが入るパリオシティ(福井市)を運営する東部商業開発事業協同組合の小出賢理事長は「退店は寝耳に水」と険しい表情を見せる。後継テナント探しは「このコロナ禍の中では出店意欲のある地元業者はいない。全国展開の県外店を募集するにしても、コロナで立地状況を見に来てもらうこと自体が厳しい」と難渋しそうな気配だ。

 ■「先が見えず」

 県内でアル・プラザなど6店舗を運営する平和堂(滋賀県彦根市)は「6店舗のテナントのうち、コロナ禍による売り上げ減の影響で飲食とアパレル系の2店舗が退店した」(広報担当者)とした。後継テナントが決まったのは1カ所だけという。

 エルパ(福井市)では、スーツケースなどを取り扱ってきた雑貨店が8月17日で退店。SNSで「17年間スーツケースを提案してきたが、コロナ禍によって人の移動や行動が制限される事態となった。先が見えない今、計画的に販売していくことが困難なため、閉店する道を選択した」などと理由を挙げた。

 エルパを運営する協同組合福井ショッピングモールによると、後継テナントには、県内初出店となる300円ショップの「3COINS(スリーコインズ)」が入る。

 JR福井駅構内の商業施設「プリズム福井」では、4月末に学習塾が撤退。プリズム福井を運営する金沢ターミナル開発(石川県金沢市)常務の橋爪毅福井支店長は「コロナ禍で集客が困難となったことが要因」と話した。

 ■「秋から冬」不安

 県内のあるSC関係者は「テナントで入っている全国展開の衣料店が(退店するかどうかの)グレーゾーンと言い、家賃を下げてほしいと要望してきた」と打ち明ける。

 エルパやベル、パリオシティなどの県内各SCは感染第1波の4~5月、テナントに対して一時的に賃料を引き下げる措置を取った。現在は、コロナ禍で売り上げが減少している事業者の賃料負担を軽減する政府の「家賃支援給付金」を利用しているテナントも多いという。

 ベルを運営する協同組合ゴールドショッピングセンターの石田正則理事長は「いまのところは政府の支援策で運転資金が回っている店が多く、撤退はない。ただ、秋から冬にかけて感染拡大し、個人消費の減退で売り上げ減が続くと、退店が出てくる恐れがある」と、警戒感をぬぐい去れない状況だ。

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