約5カ月前、息子と遊んでいた際に転倒し、地面に右手を強く打ちました。手首が痛くなっても数カ月放置し、最近受診したところ、「TFCC損傷」と診断されました。現在はテーピングで固定していますが、この痛みが治まるのか心配です。また、すぐ受診しなかったのは今後の治療に悪影響があるのでしょうか。(福井県福井市、30代男性)

【お答えします】八野田愛・福井県立病院整形外科医長

 ▽まず固定、痛み続けば手術も

 TFCC(triangular fibrocartilage complex=三角線維軟骨複合体)は手首の小指側に存在する組織であり、手首を安定させクッションのように衝撃を和らげる重要な役割を果たしています。その損傷は、今回の相談のケースのように転倒して手をついた際や、スポーツで繰り返し負荷をかけた際などに生じやすく、手首の痛みを生じる代表的な疾患の一つといえます。

 症状は、手をついて体重をかける際やペットボトルの蓋を開けるなど手首を捻(ひね)る動作の際に手首の小指側の痛みとして現れることが多く、中には手首のきしみや引っかかるような違和感、抜けるような感覚を自覚される方もいらっしゃいます。

 診断には身体所見に加えて画像所見が重要となりますが、外来で一般的に行われる単純エックス線検査だけでは診断が難しく、MRI検査などの画像検査を追加で行います。治療は保存的治療と手術療法があり、まずはテーピングやサポーターなどの装具を用いて、安静および固定を図る保存的治療が第一選択となります。損傷の程度にもよりますが、この治療は約70~80%の方に効果があるとされています。しかし、十分な保存的治療を行っても痛みが改善しない場合には手術療法の適応となります。手術は損傷した部位に対する縫合術や切除術、TFCC再建術や尺骨短縮術などを病状によって選択します。近年では関節鏡という内視鏡を用いた手術も行われています。

 ▽我慢せず早めに治療を

 TFCC損傷では、手首の捻挫として痛みを我慢している方が多くいらっしゃいます。しかし、安静を保たずに長期間が経過すると、TFCCの周囲に存在する軟骨の損傷も加わって疼痛(とうつう)を長引かせる原因となるため、受傷後はできるだけ早く治療を開始することをおすすめします。

 しばらく時間は要しますが、先に述べましたように保存的治療による効果が比較的高い疾患です。相談者も、まずは固定による治療を継続していただければと思います。

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