【論説】中学生が思いを伝える「少年の主張」コンクールの県大会は今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で録音データによる発表、審査となった。学校休校やマスク着用などの感染対策の影響で環境が大きく変化する中、身近な社会の出来事を自分ごととして深く考えるコンクールの意義を改めて考えたい。

 少年の主張は1979年の「国際児童年」を記念して始まった。例年、県大会では登壇した生徒が大勢を前に主張を発表するが、今年は事前に収録した音声に審査員が耳を傾けた。

 特殊な状況下だけに、応募作は新型コロナのテーマが多かった。県大会進出の「共に協力し合う」は、風評被害などが相次ぐ現状に「日本は情緒不安定で、つらさと悲しみで包まれている」と分析。ルールを守らない大人社会への不信感を訴え、協力する大切さを呼び掛けた。

 ほかに、県大会進出はならなかったが、休校のピンチをチャンスに変えようと決意したり、互いに頑張ろうと学校の仲間に呼び掛けたりした作品も多かったという。コンクールをきっかけに、多くの生徒が当たり前と考えていた日常生活や学校生活、家族を見つめ直したことがうかがえる。

 知事賞に輝いた「伝統文化を受け継ぐ」は鯖江市立待地区の人形浄瑠璃をテーマにした。「若い人に継いでほしい」という周囲の大人の思いをしっかり受け止め、未来に残すことを力強く決意する内容。「必要なのは気持ちと行動力」「私は後悔したくはありません」「今この瞬間から動きだします」。畳みかけるように出る言葉は聞く人の心を揺さぶり、郷土への誇りや愛着を感じさせた。

 環境活動家、グレタ・トゥンベリさんの活動を新聞で知ったことをきっかけに、世の中の動きに目を向ける大切さを説く主張もあった。「見ようとしなければ見えない」として、新聞を読むことを自ら習慣づけ、少しずつ政治や世界を知ることが楽しくなった体験を語った。

 社会の動きや身近なことに関心を持ち、自分の考えを示す学びが求められている。教育現場や家庭の役割として、さまざまな社会の出来事や地域文化、人々の思いなどを自分のこととしてとらえさせる取り組みを求めたい。その中で、大人が積極的にコミュニケーションを取り、考えるヒントを出すことで子どもの視野を広げてほしい。

 県知事賞受賞者の作品は近く福井新聞に掲載される。県大会出場の8人の主張を掲載した冊子も県内の図書館に配られる。特別な大会となった今回のコンクール。さまざまな刺激を受けて思いを深掘りした中学生の主張に触れたい。

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