福井県内の並行在来線の運賃水準と基金のパターン

 2023年春の北陸新幹線敦賀開業後の並行在来線(現JR北陸線)福井県内区間の運賃について、県が現行水準から1・3倍までの3パターンを検討していることが9月1日、関係者への取材で分かった。並行在来線の運行を引き継ぐ第三セクターの経営安定に向けた基金の拠出を、県と沿線市町が1対1の負担割合で大筋合意したことも明らかになった。基金の規模は運賃水準に応じて55億~90億円程度になる見込み。

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 このほか、三セクの開業準備や内部留保に充てる出資金に関し、21年7月ごろに予定している2次出資15億円のうち県や民間出資分を除く3億円は、非沿線市町も含めた全17市町で負担する方向となった。出資の市町ごとの額は人口や利用者数に応じて決める。

 関係者によると、運賃が現行水準のAパターンは料金を据え置く分だけ基金の額が大きくなり、85億~90億円が必要となる。Bパターンは石川、富山両県の並行在来線並みの水準。普通運賃と通勤定期は開業1~5年目が現行の1・15倍、6年目以降は1・2倍、通学定期は1・05倍になり、基金は65億~70億円とAパターンより少なくなる。

 Cパターンは、輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が福井県より低い新潟県の並行在来線並みの水準とした。普通・通勤定期は1・3倍、通学定期は1・15倍と最も高くなり、その分、基金の額は最も少ない55億~60億円となる。

 鉄道利用者の利便性を考慮し運賃を抑えると経営安定基金が増え、県や市町の財政負担が膨らむ。一方で、運賃を大幅に引き上げると乗客減につながりかねない。利用者と行政の負担バランスを念頭に、県は今後、市町や利用者団体、経済団体の意見を聞き、9月定例県議会の議論も踏まえた上で、年内に運賃水準と基金の規模を決める方針。

 福井県の並行在来線の輸送密度は約5100人。県の収支予測調査によると、現在のJRの運賃水準を維持した場合、開業初年度の収支が8億2千万円の赤字、開業10年後は赤字が15億円に膨らむ見通し。

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