一定の距離を保って検温を受ける訓練の参加者たち=8月27日、福井県おおい町大島のはまかぜ交流センター

 福井県おおい町などで8月27日に行われた県原子力防災訓練は、新型コロナウイルス対策と迅速な避難の両立が大きなテーマとなった。検温や健康確認しながらの訓練に「緊急事態になっても滞りなくできるのか」と不安に感じる住民もいた。密閉・密集・密接の3密回避と、屋内退避時に換気をしないことが原則の被ばく防止という相反する対策にどう実効性を持たせるか、難題と向き合う訓練になった。

 午前10時5分ごろ、関西電力大飯原発が立地するおおい町大島地区にサイレンと防災無線が鳴り響いた。炎天下、はまかぜ交流センターに歩いて避難してきた住民は汗だく。検温で40度を示し、測り直すトラブルもあった。
 
 「施設に入るまでにだいぶ時間が掛かった」と避難してきた住民。ただ「コロナに感染していたら、誰かにうつす恐れもある。慎重に対策を取るのは仕方がない」と理解を示した。男性(66)は「実際にはバスの車内も避難所の中も人数が多くなる。感染が心配」と話した。別の男性(31)も「大きな原発事故が起きたら、落ち着いてコロナ対策が取れるだろうか」と不安を口にした。

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 避難用バスの運転手らを対象に、座席をビニールで覆うなどしてウイルスの付着を防ぐ訓練もあった。普段は原発作業員の送迎などをしているという男性(58)は「コロナ禍での避難の現実味を感じた。大変だけど覚えないと」と話した。
 
 同センターの収容可能人数は155人だが、感染症対策で適正な人数は約30人。被ばくを防ぐために換気を原則行わずに、3密回避の空間を確保する必要がある。今回は家族でも別々になり、それぞれの間仕切り内でバスでの避難時間まで待機した。
 
 櫻本宏副知事は講評で、実際には大勢での避難になることを想定し「コロナ禍ではより多くの避難場所を確保する必要がある」との認識を示した。

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