「先生も大変なんです いまどきの学校と教師のホンネ」の表紙

 本来の始業時間前から登校指導を行い、給食はかきこんで提出物チェック。定時後も部活や会議、そして残業代はない―。教職員の働き方の実情を現場目線で描いた本を江澤隆輔教諭(福井県・三国中学校)が出版した。浮かぶのは増える業務と「子どものために力を尽くしたい」という気持ちのはざまで揺れる教職員の姿。江澤教諭は「学校のリアルを知り、関心を持って」と訴える。

 本は「先生も大変なんです いまどきの学校と教師のホンネ」(岩波書店)。これまで英語指導や教師の時短の手法の本を出しており、6冊目の著書となる。

 「教師が忙しいという認識はかなり広まったが、それがなぜかは知られていない」と江澤教諭。本は6章構成で、現状や業務が増えた理由、教師の思いを具体的に紹介している。

 例えば小学校の英語やプログラミング、道徳教科化など、指導内容が次々と増え「よりよい授業の研究や勉強に多くの時間がかかる」。加えて授業外の取り組みや新しい行事など「全国的には毎年のように業務が増える傾向」と話す。

 教職員数が減り、行事運営など学校全体の業務を分担する「校務分掌」や、部活動の負担も増した。

 一方「減った業務はあまりないように感じる」という。理由に挙げるのは「子どものためであれば何でもしたい」という教師の心情や、長時間労働が当たり前の風潮。「これからの学校は業務を精選し、スマート化していく段階にきているのでは」と主張する。

 また教職員は、給与特別措置法(給特法)で給与月額の4%相当の「教職調整額」が支給される代わりに時間外手当が認められない。4%は時間外労働の約8時間分に過ぎないという。

 江澤教諭は業務精選や外部との連携を訴える。スクールロイヤーなどの専門家のほか、給食を地域の人と食べたり、休み時間に大学生と遊んだり…。「教師は負担が減り、子どもはいい経験になる」

 県教委も教師の働き方改革に取り組んでいる最中。江澤教諭は「現場の声を取り入れながら、大胆にメスを入れる時期ではないか。疲れ切り、授業準備の時間もない教師に教わる現状がいいわけはない。家庭や地域、趣味などの経験は、魅力的な授業や接し方につながる」と話した。

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