陰陽道の風習や魔よけの図形が書かれた護符=福井県おおい町名田庄納田終の暦会館

 陰陽師関連の資料を展示する福井県のおおい町暦会館(名田庄納田終(のたおい))が6月下旬以降、入館者に配布している護符が話題だ。書かれているのは「物忌(ものいみ) 疫病流行時は外出を控えるべし」「方違(かたたがえ) 三密など人混みを避けるべし」など、災いから身を守る陰陽道にまつわる風習を現代版に解釈した心得。現代の新型コロナウイルス対策に通じるところがあると歴史ファンや来館者に好評だ。

 納田終は、平安時代の陰陽師、安倍晴明を始祖とする土御門(つちみかど)家が移り住んだ場所。暦会館では同家の資料や、陰陽道に関わりの深い暦に関する資料などを展示している。

 配布されている護符は縦約10センチ、横約7センチのステッカー。「手水 常に手を清潔にすべし」などの言葉とともに、魔よけを意味する五角形の星「五芒星(ごぼうせい)」(セーマン)と、4本線と5本線を交差させた「九字紋」(ドーマン)が描かれている。セーマンという呼び名は晴明、ドーマンは晴明のライバル、蘆屋(あしや)道満の名前に由来するとも言われている。

 館長によると、物忌みは一定期間家にこもって面会や外出を控え、けがれや災いから身を守ること。「方違(かたたが)え」は不吉な方角に出かけることを避けるため、いったん別の方角に出掛け、向きを変えて目的地に向かうこと。同館長は「中世日本の考え方が、現代に通じるのは興味深い」と話す。

 最初に用意した50枚はすぐなくなり、150枚を増刷。さらに300枚を追加予定だ。護符は陰陽道を受け継ぐ近くの天社土御門神道本庁で祈とうしてもらった。

 陰陽道にまつわる風習に関し、インターネット上では「アフターコロナの視点だと、古い迷信みたいなものが、まったく違った光を帯びてくる」「感染症対策の意味合いがあったのかも」「方違えは謎だったが、迂回(うかい)して時間をおけば目的地の不吉度が下がることはあり得る」などの声が上がっている。

 館長は「(護符を)身近なところに張ってもらい、コロナ禍の過ごし方の啓発につながれば」と話している。問い合わせは同館=電話0770(67)2876。

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