ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を通して取材を受ける前田鎌利さん=7月

 福井県鯖江市出身の書家で、プレゼンテーションクリエーターの前田鎌利さんが7月、著書「論理的思考力が身につく! こどもプレゼン教室」(宝島社)を出版した。お小遣いを増やしてほしいときや習い事を始めたいときに、相手に納得してもらえるように自分の思いを伝えるポイントを分かりやすく紹介している。コミュニケーション力が求められる社会。前田さんは「未来をつかむためにはプレゼンというツールが必要。論理的思考を養い、子どものころから身に付けてほしい」と訴える。

 -なぜプレゼンの力が必要か。

 やりたいことを伝える力は一生もののスキルだ。磨くと大きく未来が変わる。例えば大人になったときビジネスでは、社外の人とは価値観が違うし利害関係もある。私がいた会社は企業買収も多く、異文化の方がたくさん来た。言葉が違うこともあった。そこでプレゼン力はすごく有効だった。

 昔みたいに一つの会社で勤め上げることが難しい社会になりつつある。20代なのか40代なのか分からないが、自分が何をしたいのか、どういうふうにすればいいのか悩むときがくるかもしれない。そのときのために、やりたいことを言える力を子どものときから身につけたい。

 ―新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が重視されている。子どもの頃から伝える力を磨く重要性は。

 大人になって伸ばすのはとても大変だ。苦手な人は場慣れしていない。一方、学校では20~30人の前で話す機会があり、経験を積める。大切なのは単に読み上げる発表でなく、聞いた人がどう思うのか、どうやって伝えるかをしっかり考えること。プレゼンの「型」を身につければ、工夫や他人との差別化もしやすい。

 -プレゼンでまず押さえるべきことは。

 自分の思いを深掘りすること。多くの場合、そもそも自分が何をしたいのか、なぜしたいのか、考えられていない。目的や理由を明確にすれば自分の言葉で話すことができる。大人がプレゼンするときも同じだ。

 -鎌利さんはそのことを「念(おも)い」と表現する。

 プレゼンは、頭で考える「思い」とも、ふと浮かぶ感情を表す「想(おも)い」とも違う、強い気持ちを伝えること。だからこの漢字をあてて説明している。

 -著書では「論理的思考力がつく」とうたう。プレゼンとの関係は。

 プレゼンは相手の立場に立って考えることが必要。相手が何を求めているのか。喜ぶことは何か。どうしたら聞いてくれるのか。共感、信頼、納得を得て決断してもらう―というプロセスを理解して話を組み立てる。頭の中にあることをロジカルに整理することで、一つずつ腹落ちしていく話し方になる。

 -相手にメリットがなさそうなときは。

 どこまで先の時間軸で見るか。投資と同じで、5年後、10年後、どんなメリットがあるか分からない。例えば2時間ゲームをしたいときに、「友達と話ができる。一生つきあえる友達になるかもしれない。そういう友達をつくりたい」と言えば、大人にメリットはないが、子どもには将来のメリットがある。妥協点を見いだして、1時間はやらせてもらえるかもしれない。

 -著書では新聞の活用も勧める。

 文章がビジュアルで頭に入ってきて、知見が広がる。しかも数字がよく登場し、プレゼンで大切な、数字を扱う力がつく。ロジカルに考えるには『なんとなく多い、少ない』でなく定量的な見方が大切。

 -最近は子どももSNSなどでのやりとりが多い。気をつけることは。

 SNSは考える時間がない。スタンプで楽に感情を伝えられるが、「間」がない。一方、プレゼンや手紙は手間が掛かる。面倒なことをあえてやることで付加価値が付く。時にはそいうった手段を選ぶことも必要かと思う。

 ■前田鎌利(まえだ・かまり) 福井県鯖江市出身。企業向け研修などを行う「固-KATAMARI-」(東京)社長で書家。東京学芸大卒業後、17年にわたり通信業界で従事。ソフトバンク在籍時には孫正義氏のプレゼン資料作成にも携わった。

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自己紹介のこつを学ぼう、23日にオンライン教室

 前田鎌利さんが代表理事を務める一般社団法人プレゼンテーション協会と福井新聞社が協力して8月23日、小学3~6年生対象の「こどもプレゼン教室」をオンラインで開く。テーマはいろいろな場面で必要となる「自己紹介」。前田さんは「自己紹介が上手にできると、たくさんの人と仲良くなれて友達も増える。最高の自己紹介ができるこつを学んでほしい」と呼び掛けている。

 ⇒23日オンライン講座の申し込み

 自己紹介について「人生で最も多く行われるプレゼン。5歳ぐらいの子どもからお年寄りまで必ずやっている」と説明する。オンライン教室では前田さんの講演を聞きながら、自分を伝える技術を磨く。相手の印象に残るように必要な情報を三つに絞るなど、効果的な自己紹介の方法を学ぶことができる。

 午後2時~3時で、無料。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使う。定員480人で、締め切りは21日午後3時。定員に達し次第、締め切る。

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