北陸新幹線深山トンネルで行われた貫通の掘削作業=8月3日、福井県敦賀市樫曲(トンネル北端部)

 2023年春開業予定の北陸新幹線金沢-敦賀間で、深山(みやま)トンネル(福井県敦賀市樫曲―大蔵、768メートル)が8月3日貫通し、現場で工事関係者らによる式典が行われた。金沢―敦賀間に設けられるトンネル全12本の掘削が完了し、開業に向けた区間全体の工事がさらに加速する。

 深山トンネルは、国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録されている中池見湿地の一部を通る。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は湿地への影響を回避、低減するため「環境管理計画」を策定し、昨年1月に大蔵側から本格的な掘削工事に着手した。

 湿地の水源の一つになっている地下水の減少抑制を図るため、トンネルの断面を直径約10メートルの円形にする構造を北陸新幹線で初めて採用し、全周を防水シートで覆う対策を行ってきた。

 昨年2月に掘削土から国の環境基準を超えるヒ素が検出され、対応などのため工事は約4カ月中断。さらに地盤が予想以上にもろかったため、再開後の掘削も難航し、作業は7カ月程度遅れたという。

 8月3日午前10時半ごろ、福井県や敦賀市、施工業者の関係者ら約50人が見守る中、大型重機が樫曲側に残った土砂の壁に穴を開け、外から光が差し込んだ。

 貫通式が現場で行われ、鉄道・運輸機構敦賀鉄道建設所の柏木亮所長が「深山トンネルの工事は環境への配慮や関係者間の連携など内容が濃い。(金沢―敦賀間の)工事は終盤を迎え、工期は非常に厳しいが今後も安全第一に進める」とあいさつ。敦賀市の片山富士夫副市長は「新幹線が市の発展につながるようなまちづくりに取り組む」と述べた。その後、鏡開きや万歳三唱で貫通を祝った。

 今後、トンネル内をコンクリートで覆う工事やレールを敷設するための路盤整備を行い、来年6月に完成する予定。鉄道・運輸機構は「掘削の遅れはトンネル前後の高架橋などを含めた工区全体の工程に大きな影響はない」としている。

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