子どもたちの喜ぶ顔を何より楽しみにしてきた栗山さん=7月28日、福井県福井市中央1丁目のくりやま玩具

 福井県福井市のJR福井駅西口にある老舗玩具店「くりやま玩具」が駅西口再開発を機に7月末で閉店し、94年の歴史に幕を下ろす。半世紀にわたり年中無休で店に立ち続けた2代目店主の栗山和彦さん(88)は「終点は目の前だけれど実感はわかないね。とても充実した毎日だった」と話す。

 1926年、トウ細工職人の父が同市毛矢に店を開き、手作りの乳母車や座椅子など子ども用品を扱っていた。通りには戦車が走り、兵隊が歩いていた時代。福井空襲で店も自宅も焼け「全て無くなってしまった」。

 終戦後の45年11月に、焼け野原となった駅前の土地を借り、小屋を建てて父が再び店を開いた。材料も道具もなく、しばらくは荷物の預かり所を営んだ。戦地から戻ってきた多くの兵士たちが荷物を預けに足を運んだ。

 玩具を売り始めたのは50年ごろ。静岡県から廃材で作ったおもちゃが持ち込まれたことがきっかけだった。高校卒業後から店を手伝っていた栗山さんは「おもちゃがなかった時代。親子連れが、みんなうれしそうに買っていく姿が忘れられない」。71年には父から店を継ぎ、本格的に玩具店を始めた。

 昭和時代は金属製の汽車や飛行機などが中心で、レーシングカーも人気を集めた。平成にはプラスチック製品に変わり海外製品も増加。形がとがっている飛行機のおもちゃは姿を消した。近年はカード製品やフィギュア、エアガンなどを扱い、地元の中高生や県外の旅行客が足を運ぶ。

 リーマンショックの影響で売り上げが厳しい時もあったが、子どもたちの笑顔を楽しみに営業を続けた。「探していたものが見つかった時、子どもたちの顔がぴかっと輝く。その喜ぶ顔を見るのが好きでね。こんなに楽しいことはない」と顔をほころばせる。

 米寿を迎え「再開発後を見届けられんかもしれんけれど若い人が集まる空間ができ、にぎわいが生まれるといいな」と栗山さん。生まれ変わった町が発展することを願っている。

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