【論説】美浜町久々子にある県園芸体験施設「園芸LABOの丘」がオープン1周年を迎えた。体験などを通して園芸へ興味を持ってもらうのが狙いの施設で、気軽に園芸に親しむことができるのが売りだ。新型コロナウイルスで中止したイベントや体験講座なども多かったが、シンボルの巨木トマトも無事に収穫でき、初めて見る人に驚きと感動を与えたのではないだろうか。

 福井は冬季などの日照時間が少ない、水はけの良くない土地が多いなどの理由で長年、栽培に向いた稲作を中心に力を入れてきた。ただ、消費者のコメ離れや、国による生産調整(減反)が廃止されたことで米価下落の懸念が広がっているほか、農家の高齢化や担い手不足も課題となっている。持続可能な「もうかる農業」の確立が求められているのが現状だ。

 園芸はうまくできれば収入増が望めるという。県は田んぼの排水を良くして行う水田園芸やハウス栽培などを推し進めており、園芸やコメとの複合経営を支援している。その拠点の一つとなるのが、園芸LABOの丘だ。

 中心施設の園芸LABOには調理実習室や科学実験室、工芸体験室などがあり、マイクロスコープを使った実験やせっけん作りなど、さまざまな体験が行えるのが魅力だ。今後も糖度計を使った実験や梅シロップづくり、プランター野菜栽培など季節に応じて行っていくとしている。

 展示ハウスには、主にトマトが栽培され、野生種をはじめ国内外のトマトなどが並んでいる。既に収穫は終えたが、10メートル四方に枝が広がり1万個以上の実を付けた巨木トマトは圧巻だ。新型コロナの影響で収穫体験を楽しめた子どもの数は予定より少なくなってしまったが、動画の配信などを行ったことで、園芸の面白さや先端技術の一端は伝わったのではないだろうか。

 これら展示や体験の主眼に置かれているのは、園芸への興味・関心の喚起だ。子どもや初心者が、巨木トマトの水耕栽培技術を見たり、野菜を収穫したりと園芸に親しむことで、ひいては将来の担い手確保につなげたいとの思いもある。

 この1年、後半は新型コロナの影響で体験講座などは減らさざるを得なかったが、今後は体験メニューの開発などのほか、施設のPRも大切だろう。隣接する県園芸研究センター、美浜町健康楽膳拠点施設「こるぱ」とともに、園芸拠点として多くの県民が訪れ、学び楽しむ場所となることを期待したい。

関連記事