【論説】新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面解除されて25日で2カ月となる。

 この間、東京都は第2波の様相を呈するまでに新規感染者数が急増。今月半ばには300人に迫る日が続いた。大阪府も連日90人近くになっている。国内の感染者数も4月の水準に戻り、死者が千人を超えるまでになった。

 長丁場が想定される中、感染防止と社会経済活動の両立を図らなければならないが、ブレーキとアクセルを同時に踏み込むような状態が続いており、現時点では成功しているとは到底言い難い。

 最たる例が観光支援事業「Go To トラベル」だ。政府は全国一斉の開始予定だったが、ここに来て東京都発着旅行の除外、それに伴うキャンセル料の補償という朝令暮改を余儀なくされた。世論を背景に不満を募らせる地方や与党から突き上げられた格好だ。

 緊急事態宣言の発令判断や店舗への休業と補償、減収世帯対象の30万円給付から国民一律10万円給付への変更もしかり。自治体に比べ現場を熟知しない政府に国民の声が届かなくなっているためとしか思えない。

 現状は感染拡大地域への緊急事態宣言再発令が急務ともいえるが、政府は4月に比べ重症者が少ないことを挙げ再発令には否定的だ。若者を中心とした感染が多いためだが、無症状者らが市中感染を広めている可能性も否定できず、さらには隣県、地方への感染も拡大しつつある。

 福井県内も2カ月半、感染ゼロが続いたが、今月に入って4人の感染が確認された。3人は東京滞在が感染源とみられるが、バス運転手は経路不明のままだ。今のところ二次感染はない。だが、県外観光客などの増加により、いつ、どこで感染拡大が起きてもおかしくない。

 西村康稔経済再生担当相は感染防止策が不十分なキャバクラなどの「特措法24条に基づく休業要請を検討すべきだ」としている。しかし、緊急事態宣言がないままでは知事の協力要請でしかない。知事側が補償や罰則の規定が必要と主張するのも当然だろう。

 菅義偉官房長官は休業要請と補償をセットにした特措法改正の必要性に言及している。だが「事態が収束した後にしっかり検証すべき課題だ」とも述べている。これでは今の感染再流行には対応できない。

 国も自治体も第1波を抑えるため、多額の財政出動を強いられ、第2波への余力は限られている。だからといって、手をこまねいていては全国的な感染急拡大を招きかねない。東京都など自治体と国の間の不協和音は早急に解消すべきであり、結束が欠かせない。

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