【論説】新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワークの浸透など働き方をはじめ、生活様式を大きく変化させた。感染者が多い東京などでは地方暮らしのメリットが注目されている。福井県内への移住を促す契機にしたい。

 生活意識や行動の変化を探るため、内閣府が5月25日~6月5日に実施した調査によると、東京23区に住む20代の35・4%が「地方移住への関心が高まった」と回答した。「テレワークを経験した」と答えた就業者の割合は全国で34・6%、東京圏に限れば48・9%に上った。経験者の6割超が仕事より生活を重視する考えを示し、新型コロナの広がりに伴う意識の変化がうかがえる。

 41道府県と2市が相談員を置く東京都内の「ふるさと回帰支援センター」では、4、5月は前年の半数以下だった移住相談が、対面相談を再開した6月から戻ってきている。中でも、東京圏から「適度」に離れた群馬、栃木、静岡、山梨、長野などが人気を集めているようだ。

 福井県の最近の状況をみると、2019年度に県や市町の支援を受けて移住した人は820人。14年度の361人から2倍以上に増えている。ただ、県外への転出が転入を上回る「社会減」が、19年は前年より673人増えて2832人となり、人口流出に歯止めが掛かっていない。

 新型コロナの新規感染は、福井県などの地方である程度抑えられている一方、東京圏では増加傾向にある。終息の時期が見通せない以上、企業がテレワーク環境を整備したり、大都市圏の人々が地方移住を検討したりする動きは今後も続くだろう。

 福井県は今春、移住政策の一つとしてオンラインを使った取り組みを強化した。学生向けと社会人向けに分けていたマッチングサイトを「291JOBS(ふくいジョブズ)」に統合。動画やチャットなど機能を充実して、企業と求職者の個別のコミュニケーションを可能にした。東京はじめ全国5カ所にある福井Uターンセンターと連動させて、きめ細かい支援につなげたい。

 また、昨年度からIT企業のサテライトオフィスの県内誘致にも力を入れている。セミナーなど対面式のイベント開催が難しいことから、現在検討しているというオンラインを使った誘致活動を急ぎたい。ライバルとなる自治体は多く簡単ではないが、地方移住への関心が高まっているタイミングを逃さず進める必要がある。

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