犬用のシカ肉ジャーキーの販売を通して、ジビエの魅力発信に取り組む坪田愛子さん=福井県敦賀市内

 農作物を荒らす有害鳥獣であるシカの肉を有効活用しようと、福井県敦賀市の女性猟師が犬用のジャーキーに加工して販売している。商品の評判は上々で、「ペットが喜ぶ姿を見て、ジビエ料理に関心を持つ人が増えればうれしい」と期待を寄せている。

 女性は同市の会社員、坪田愛子さん(43)。ジビエ料理店で働いていたことがあり、昔から興味のあった狩猟免許を昨年取得した。「猟は命をいただく行為だけど、動物の力強さに触れられるのが魅力」と毎週、山に入るほどのめり込んでいる。

 ジャーキー販売のきっかけは1月に参加したジビエ料理講習会。そこで、捕獲されたシカの肉のほとんどが処分されていることを知り、「高タンパク低カロリーの良い肉なのに、もったいないと感じた」と話す。

 シカ肉の活用策がないかと、最初は人が食べられる食品製造を模索したが、市外の加工場で処理する必要があり、鮮度維持の難しさやコスト面などから断念。最終的に犬用ジャーキーを思いついたという。

 猟期に捕獲したシカを仲間の猟師の小屋で解体し、焼いて殺菌した後、専用の機械で加工する。3月にオンラインショップ「愛工房」を開き、1袋25グラムを660円でネット販売を始めると、徐々に客が増えた。飼い主から「完食後も探していた」「見たことないほどよだれを垂らしていた」などの声が寄せられ、手応えを感じていると話す。

 近年、市内では年間約2千頭のシカが捕獲されているが、県猟友会敦賀支部によると9割以上は処分されているという。ゆくゆくは人が食べられる商品も開発したいという坪田さんは「高品質な処理をして、敦賀産シカはおいしいと言われるようにしたい。仲間猟師とともにジビエの魅力を訴えていきたい」と話している。

関連記事