わたぼうし音楽祭で詩が披露されることが決まり笑顔を見せる山本弘樹さん=福井県立盲学校

 障害のある人がつづった詩に曲を付けて披露する全国規模の音楽祭「わたぼうし音楽祭」に、福井県立盲学校保健理療科3年の山本弘樹さん(50)=福井市=の詩が採用され、公募の曲も付けられた。「曲を聴いた視覚障害者が、社会へ踏み出す気持ちを持ってくれたら」と8月2日のインターネット配信を心待ちにしている。

 わたぼうし音楽祭は、社会福祉や文化活動に取り組む奈良市のボランティア団体「奈良たんぽぽの会」が毎年夏、奈良県で開いている。45回目となる今年は、8月2日に祭典を開く予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止され、同日にインターネットで曲を公開することにした。

 山本さんの詩「あなたの心にそっと感謝して」は、盲学校でのマッサージの実習風景が題材。「表情は見えないけれど」、施術の中で確かに感じられる相手のやさしさを描き、「社会復帰に夢のせて 出来ると信じて 私はあきらめない」と強い思いも込めた。「働くこと、生きていくことの喜びが豊かに表現されている」と高い評価を受け、47都道府県から寄せられた354点の中から、8点に選ばれた。

 山本さんは、ホームセンターに勤めていた30代の時に糖尿病網膜症を発症。手術を経ていったんは職場に復帰したが、視力は次第に失われ退職を余儀なくされた。「あん摩マッサージ指圧師」の資格取得を目指し46歳の時に県立盲学校に入学。国語の授業で詩を学び、これまで詩のコンクールに意欲的に作品を応募してきた。

 山本さんは「視力を失った自分にとって、詩は貴重な自己表現の場。明るく軽やかな音楽も付いたので、音楽祭での発表が待ち遠しい」と喜んでいる。山本さんの詩は「たんぽぽの家」のホームページで見ることができる。

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