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 北朝鮮での撮影に成功した映画『ザ・レッド・チャペル』が高い評価を得て、その後もアフリカの政治汚職を追及した『アンバサダー』などが注目されている鬼才マッツ・ブリュガー監督。本作は1961年に起きた第2代国連事務総長ダグ・ハマーショルドが墜落事件で亡くなった事件を、7年に渡って調査した取材の軌跡をまとめたドキュメンタリーです。

 原題は「COLD CASE HAMMARSKJOLD(ハマーショルド未解決事件)」アフリカを大国から守ろうと尽力した事務総長の墜落事故は、陰謀か? それとも不幸な事故だったのか? そう聞くと、ハマーショルド事務総長の墜落事故の真相を突き止めるエンディングが用意されていると思うかも知れません。実はわたしも、初めてこの映画を観たときはそう思っていました。しかし、多くの映画祭で数々の賞を受賞したドキュメンタリーはそんなことでは終わらない。調査は思いもよらない方向へ転がっていくのです。

長年にわたる調査や関係者へのインタビューを見ていくうちに、私たちはいつの間にかこの壮大なミステリーに巻き込まれていきます。ハマーショルドの墜落の謎に近づいていくにつれて見えてくる謎の傭兵集団の存在。あまりにも恐ろしい事実が元隊員の口から語られたときは、思わず足が震えるほどの衝撃を受けました。私たちが目にしているニュースも、世界の指導者たちの姿も、自分が信じていたものがガラガラと音を立てて崩れていく感覚。信じるかどうかはあなた次第。「これは事実なのかもしれない」と押しつぶされそうになりがら、どこかこれがただの陰謀論であってほしいと祈るしかない。そんな映画が突きつける恐怖は、まさに小説より奇なり、でした。是非劇場で、ブリュガー監督とともに旅をしながら衝撃のラストを目撃してください。★★★★★(森田真帆)

7月18日から全国順次公開

監督:マッツ・ブリュガー

出演:マッツ・ブリュガー、ヨーラン・ビョークダール

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