北陸新幹線の福井県内のトンネル12本

 北陸新幹線金沢―敦賀間で整備される福井県内のトンネルは12本。中でも、南越前町と敦賀市を結ぶ延長約20キロにも及ぶ新北陸トンネルの掘削工事は、軟弱な地盤や突発的な湧水にたびたび見舞われ、難工事の連続だった。

⇒新北陸トンネルが貫通7/10

 「工事の難しさは想定していたが、それ以上だった。それだけに今はほっとしている。その一言に尽きる」。新北陸トンネルの貫通式に臨んだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構敦賀鉄道建設所の柏木亮所長は約6年に及ぶ工事を振り返り、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 最終工程となった敦賀市の田尻工区は当初、4月貫通予定だったが、トンネル周辺の地盤が脆弱(ぜいじゃく)で、思うように掘削が進まなかった。「重機が入ると沈んでしまう。水を含んだ泥を取り除き、路面の砂利を入れ替えて少しずつ掘削を進めてきた」(柏木所長)という。

 また、南越前町の大桐工区や敦賀市の葉原工区では断層破砕帯などに蓄積された大量の水が湧き出し、排水処理に時間を取られた。丸一日作業しても掘削が1ミリも進まない日が続いた。

 柏木所長は「場所によってコロコロ変わる地質に苦しめられたが、地質に対応した適切な工法を選択し、施工業者の高い技術力で難工事を突破することができた」と強調した。新北陸トンネルの施工には延べ約40万人が関わったという。

 このほかのトンネル工事でも曲折があった。あわら市の柿原トンネルでは、掘削作業中にトンネル天井が崩落。地上部のグラウンドで陥没事故が起き、工事が一時中断した。ラムサール条約に登録されている敦賀市の中池見湿地の一部を通る深山トンネルでは、環境への影響が出ないよう慎重に工事を進めてきた。

 新北陸トンネルの貫通によって、金沢―敦賀間の12本のトンネルのうち、残るは敦賀市の深山トンネルのみとなった。23年春の開業まで約2年8カ月。柏木所長は「工程に余裕がない厳しい状況だが、引き続き工事を進めたい」と気を引き締めた。

関連記事